mimitakoyaki

コーヒープリンス1号店のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

コーヒープリンス1号店(2007年製作のドラマ)
4.0
2007年の作品なので時代を感じさせるところがありながらも、10年以上前に今のジェンダー観に繋がる先進性があちこちに見られて、とっても興味深かったです。

主人公のウンチャンはかなりボーイッシュな女性で、成り行きから、従業員が全員男性というコーヒープリンス1号店で、男性を装って働く事になります。
そこの社長ハンギョルと兄弟のように仲良くなっていくのですが、いつしかそれが恋愛感情に変わっていったことにハンギョルは戸惑います。

自分の恋愛対象は女性なのに、なぜウンチャンに惹かれるのか。
もしかして自分はゲイなのかと苦悩します。
ハンギョルは財閥御曹司なので、社会的な立場もあります。
それに当然家族が交際相手や結婚にもめちゃくちゃ口出ししてくるから、自分だけの問題ではないのです。

そういった自身のセクシャリティに対する葛藤や同性愛者に否定的な社会的風潮による苦しみを描いた点や、主人公がジェンダーフリーであることなど、いろいろ面白いと思いました。

また、ハンギョルは社長ですから、自分が常に上の立場であり、傲慢で我儘で、相手を自分の思う通りにコントロールしようとするタイプでしたが、ウンチャンはハンギョルとは正反対で、家は貧しい母子家庭で、自分が高卒で働いて家族を支える大黒柱になっている苦労人で、しかも人に施しを受けるなどして頼るのが嫌な自立した女性です。
ハンギョルはウンチャンとの出会いによって、男が女を養ってやる、女は男の庇護の元で尽くす役割という家父長制的男女観を変えていき、女性にも叶えたい夢や生き方があり、葛藤しながらもそれを認め支えようとするまでになっていくんですね。

こういうところが、10年以上前にもしっかりと打ち出されて描かれてたのがすごいなと思いました。
制作陣が、原作者、脚本家、プロデューサーなどがみんな女性だったということで、この時代にはそれ自体が珍しかったのですが、そういった中でこのドラマが生まれたというのが、とても納得できました。

そして、ハンギョルの従兄弟のハンソンとハンギョルの初恋相手のユジュのカップルの描き方も、音楽プロデューサーと画家というそれぞれの仕事を持ち自立した男女ですが、「結婚すると男は女を支配したくなってしまう」という事をハンソンが自覚し、そうではなく対等な関係としてユジュの生き方を受け入れようとするところやプロポーズのエピソードなんかもすごく良くって、紆余曲折ありながらも正直で相手も自分も尊重しようとする関係になっていったところが素敵でした。

このドラマ、キャストが良いんです。
なんと言ってもコンユですよ♡
怒鳴ったりするところは嫌でしたが、やっぱりかっこいいんですよ。
スタイルも抜群!
自分はゲイなのかと悩みながらも、でも男とか女とか関係なくこの人が好きなんだという事を受け入れるようになるまでとかすごく良かったです。

そしてイソンギュン♡
この時もすでにええ声♡
イソンギュンと眼鏡、最高♡
優しくて紳士的で大人の男性としての魅力がヤバかったです。
ユジュ役のチェジョンアンがほんとに綺麗で素敵だったし、ウンチャンの存在で心が乱れながらも、恋敵を嫌な女として描かなかったところもすごく良かったです。
このハンソンとユジュのカップルがウンチャンとハンギョルよりも好きだったかも。
ほんとにお似合いな素敵な2人でした。

あとキムジェウクがねー、色気がすごい。
そして日本語が全く違和感なくネイティブ並みのレベルなんです。
キムジェウクのエピソードをもっと欲しかったですけどね。

ウンチャンを演じたユンウネが、ずっとスッピンでカザツで大食いで、これ演じるの大変だっただろうなと思いますが、ガサツさや服装が好きじゃなかったものの、かわいい男の子っぽくちゃんと見えてたし、どんな女優さんかと画像検索したら、ウンチャンと同一人物とは全く思えないくらい、綺麗な人でした。
男性に媚びず、頼らず、自立した女性として描かれたウンチャン、とても良かったです。

嫌だった点は、ウンチャンの母親ですね。
ウンチャンは大学にも進学せずに朝から晩まで家庭を支えるために働き詰めなのに、このオカンもっとしっかりせえよ!って思いました。
母親の恋愛エピソードも描かれますけど、全く魅力的に感じなかったし、娘に依存する毒親にしか見えなかったのが残念でした。
あと妹も人を何やと思てんねん!ってちょっとイラッときました。

それでも、新しいジェンダー観を取り入れた良いドラマでした。
楽しかったです!

12
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