ソラアユム

テセウスの船のソラアユムのレビュー・感想・評価

テセウスの船(2020年製作のドラマ)
3.4
残酷な運命


父親の無実の罪を晴らす為に、過去にタイムスリップした男の運命を描くTBS系ドラマ

時を超えた家族愛を描いた作品として一定の評価はできます。ただ、一つのドラマ、作品として看過し難い欠点が多い。

サスペンス、ミステリーの要素はあるものの、犯人が誰かを当てようとしてはいけない。伏線も無く、後出しジャンケン的な手法で動機も犯行手順も語られるトンデモ作品。2回見直して、伏線や隠されたヒントを探す作品は数あるが、このドラマは2回見ると不自然な演出、登場人物の行動等、違和感のオンパレードになること間違いないでしょう。製作陣のミスリードさせたいが為のストーリーテリングに最後の20分まで付き合わされる羽目になるので、サスペンスやミステリーがお好きな方は絶対見ない事をオススメします。途中で犯人変えたのでは?と疑いたくなる程、脚本が酷い。

主人公の行動全てがいちいち事態を悪化させるだけで、未来の情報を持っているという圧倒的なアドバンテージは全く活かされない。最難関の問題である、未来から来た事を信じてくれる人が見つかった時点で事件のことを洗いざらい全て話すべきだ。父親が未来では死刑囚である事を伝えるシーンも最悪で、全くフォローを入れないからしょうもない内輪揉めに時間を割くことになる。

サスペンスとして致命的なのが、主人公も父親もまともな推理をしない事だ。事件が起こってからしか行動せず、終始後手に回る。やる事は人探しをするか村中を散策するのみ。今まで起きた殺人事件を一度整理して、村人から容疑者を割り出して、その人の事件当日の行動を調査する。父親が警官にも関わらず、基本が全くなっていない。だから、この人が犯人でしたと言われても、新鮮な驚きは得られない。主人公側がベストな行動を尽くしてこそ、推理や予想を大きく外れる、犯人の正体判明の衝撃を感じることができるのだから。

家族愛が見たい方なら問題ない作品だとは思いますが、それならもっと正統な作品が日本ドラマに溢れているのでそちらを見た方が良いでしょう。凄惨な事件が今まさに進行中なのにゴリゴリ家族愛を見せつけられても気持ち悪いだけ。これでは感動ポルノと言われても致し方ない。
鈴の子役は、大物になりそう。