SANUKIAQUA

おちょやんのSANUKIAQUAのネタバレレビュー・内容・結末

おちょやん(2020年製作のドラマ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

小学生の頃、土曜日は午前中で授業は終わり
集団下校で家に帰り、
お昼ご飯に焼き飯を食べながら
テレビで吉本新喜劇を見るのが
ルーティンになっていました。

下町のうどん屋や食堂などが舞台で
生き別れた兄弟や親子の再会や
商売敵の子供の恋愛などが
町のチンピラや詐欺師などが絡みながら
ボケとツッコミを挟みながら
最後は涙の再会や和解、結婚の許しが出て
幕が降りるのが定番。
流れがわかってるけどそれが安心感だったり
お決まりのギャグに笑ったりしていました。

家庭劇、新喜劇をモチーフにしていますが
このドラマそのものが新喜劇なんですね。
内容は随分とシリアスで深いですが。
子供の頃の刷り込みがあったので
このドラマもすんなり受け入れられました。
ドラマの内容とその中での新喜劇を
うまく絡ませて登場人物たちの心情と
重ね合わせていくのが上手です。
それは時に親子のわだかまりを解したり
ライバルであり仲間の最後を飾ったり。

しかし大阪制作の朝ドラは
その方言や生活文化が時に
主に東日本の方々には
受け入れにくいだろうなと思います。
カーネーションでもそうでしたが
最初の子供時代の言葉の荒さや
しばらく続いた主人公千代の父親テルヲの
朝ドラ史上一とも言えるクズ親ぶりから
早々に離脱した人も多かったのでは
ないでしょうか。
そこはドラマも視聴者も少し損したと
思いました。

色々な登場人物の親子関係が出てきますが
血のつながりがあるからこその苦悩と
血のつながりがないが故の繋がりの強さの
対比を感じました。
千代が傷ついた時に一平が慰め
一平が傷ついた時に千代が慰め
千代が傷ついた時に栗子が慰めたのは
その代表例ですが
その他にも擬似的に始めた家族関係が
強い絆で結ばれていくなど
様々に血の繋がりではなく
境遇による繋がりが強い絆になる
場面が強く印象に残りました。
それは本当の家族というものの意味を
考えさせるものでした。

主人公の子役を再度身内として登場させる
それ自体はこれまでもありましたが
そこに意味を持たせることができたのは
初めてではないでしょうか。
春子が家族を持ち、安心して暮らせることで
同じ子役が演じた千代の子供時代
いや千代が自分自身を抱きしめて
救えたようにできたのは秀逸だと思います。

残念な点は、登場人物たちの老いを
俳優たちの演技に頼っている点です。
この点は海外に劣っていると感じます。

朝は忙しいので録画して
夜に観ているのですが
大抵見慣れると冒頭の主題歌は
早送りするのですが
今回の主題歌は爽やかで
内容ともよくマッチしていて
飛ばさずに良く聴きました。
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