とんちゃん

おちょやんのとんちゃんのレビュー・感想・評価

おちょやん(2020年製作のドラマ)
3.9
戦後から高度経済成長期に活躍
『大阪のお母さん』と親しまれた女優浪花千栄子がモデル。
その竹井千代を演じるヒロインは杉咲花

浪花千栄子が喋る、早くてテンポの良い流暢な大阪弁を再現するのは大阪出身でも難しいと言われている。
けれど何のその、凄いな花ちゃん
東京出身にも関わらず自分のものにしちゃっている。最初から最後まで演じ切っていた、見事でした。

朝ドラ史上最悪の父親と言われたテルヲ(トータス松本)。ロクに仕事もせず酒や博打にのめり込んでばかり。そんなの今までも同じ様なのを見てきたので大した事は無いと思うでしょ。借金で首が回らなくなったテルヲは幼き娘千代を奉公に出し、その後もまた借金を作り千代を売り飛ばそうとしていた。本当にしようもない男でしたね。

奉公先である芝居茶屋「岡安」の女将、ご寮人さん(篠原涼子)がキレるとドスの利いた声がもろ極妻。しかし義理人情に厚く(極妻やん)おちょやんとして働く千代の母親代わりともなっていた。
別格でしたね。篠原涼子だけ次元の違う演技していた。恐るべし

ここ最近の朝ドラはネガティブなシーンは有っても倫理的にマイナスなシーンは避けていた。
しかし今回は出してきましたねえ
千代の旦那である二代目渋谷天外のモデル二代目天海天海(成田凌)は新入り女優の朝比奈灯子(小西はる)と不倫し子供が出来る。
子供が出来ない千代にとってこの時が一番苦痛だったろうねえ💦
実際はもっと酷いと思うけど
この辺りは柔らかく表現したにも関わらずNHKに苦情が殺到したとか…

これを受けて「あさいち」にゲスト出演した杉咲花が「一平と成田さんは別の人なので」とフォロー入れた。
いやあ他人事ながら大変でしたねえ💦
スカーレットがもしその辺りを正しく放映したら大変な事になってますね。
まだ存命中だけに

二代目天外はアドリブが嫌いで、台本通りに演技しない曾我廼家十吾(千之助)と揉めてばかりで結局十吾が出て行く。
けれども天外は舞台「桂春團治」で藤山寛美とアドリブの応酬している。
おかしいよね
そう、その藤山寛美のモデルこと松島寛治を演じた前田旺志郎、香川真司の若い頃に似ている。彼は兄弟芸人コンビ「まえだまえだ」の弟。懐かしいなあ
一見真面目そうに見えるも藤山寛美らしく酒や女にのめり込んでいる場面もちょっとだけ見れた。

おちょやんが女優を目指すキッカケとなった高城百合子(井川遥)と小暮(若葉竜也)がソ連へ亡命した話、
驚いた、実際に有った話なんですね。岡田嘉子という女優さんらしいけど、終戦後も日本に帰らずそのままモスクワに残っていたとか…

他、板尾創路が演じる万太郎の最期の話が良かった。千之助を演じるほっしゃんも名演でした。
エンタツアチャコの花菱アチャコこと花車当郎演じる塚地武雅が面白い。
千代とは一平よりも夫婦していた気がする。

後半は渋谷天外の「桂春團治」に合わせたストーリー仕立てが良かった。
天海が新作を作るに当たって悩んでいた中、寛治が天海に向かって実際にあった事を書けといったシーンから来ている。

栗子があの様な再登場するとは思っても無かった。
ラストの千代の台詞、そして家族全員再登場は泣けた。

全115話