斬切りバーニー

おちょやんの斬切りバーニーのレビュー・感想・評価

おちょやん(2020年製作のドラマ)
3.7
「生きるっちゅうのは、ホンマにしんどうて、おもろいなあ」

今回の朝ドラのモデルとなった、女優・浪花千栄子の半生も、(他朝ドラ同様)決して楽なものではなかった。むしろ波乱万丈の連続であり、こうしてドラマを通し、それを追うことができて、「人生とは?」という生涯を掛かて分かるはずの、大きな問いの答えが、少しだけ分かったような気がする。学びある、とても素晴らしい時間を得られた。

それが何なのかについては、ぜひドラマを見て感じて欲しいとしか言えない。全てを見たからこそ、この台詞に辿り着く境地に、胸が熱くなってしまう。そして、そんな言葉にするのも難しい様々な感情を表現し、毎度心を揺さぶる演技をしてくれた杉咲花ちゃんには、心からの鳴り止まぬほどの大喝采を送りたい。

そして、このドラマのもう一人の功労者。影の立役者とも言うべきか、もはや影にしてはインパクト強すぎるんだけどね(笑)自分本位で無責任な最低最悪な毒親父の存在抜きにして、このドラマを語ることはできない。

一体何度、千代ちゃんを地獄に突き落とせば気が済むんだよ! というか、どこまでも追いかけてくるし、もうやだ〜……。でも、な〜んか可愛げがあって、憎めんのよね。

朝ドラ放送直後のあさイチで、そんな毒親父を演じたトータス松本さんが、それでもこの親父の良いところを一生懸命探したり、必死に弁解するところ見て、やっぱり自分が演じる役柄は嫌えないんだな、と妙に可笑しくなった。