あーや

ペーパー・ハウス シーズン5のあーやのレビュー・感想・評価

ペーパー・ハウス シーズン5(2021年製作のドラマ)
3.1
スペインを舞台に、武装強盗集団による造幣局襲撃とスペイン銀行襲撃を描いた物語。

何といっても、アイコニックな赤いツナギにサルバドール・ダリの仮面は、シリーズを最後まで観た観客の記憶にずっと残り続けること間違いなしであり、デザイナーの力の凄さを感じる。

現場の外にいる教授と中にいる仲間たちを交互に映しつつ、強盗の準備段階の映像を小出しにしていくという独特な進行が一貫して保たれている。
物語の展開としては犯罪ドラマにありがちな内部対立の様子が多いが、ストーリーの特性上、トリックを使ったどんでん返しも多いのがよい。
ただ、シーズン3序盤の唐突な失速感は何だったんだろう。。。

最終回では、急に経済学寄りの話が出てきて、すり替えた金塊が「なぜバレなきゃ真鍮で良いのか」という点はよくわからない人もいるだろうと思われるけど、これは経済学的にはとても基礎的だけど奥深くもあるテーマ。

この作品について特に気になった点だけど、世間に広く受けることを狙ってか、LGBTQやフェミニズムといった、いわゆるポリコレ要素がこれでもかというくらいに詰め込まれている。
LGBTQの文脈では「性的少数者もあくまで性的指向が異なるだけの同じ人間」、フェミニズムの文脈では「女は男に守られるだけのか弱い存在ではない」ということを軸に、かなり細かい部分まで色々と配慮が行き届いている。これ自体はよい。

非常に残念なのは、そういう細かい配慮を超えて、どう贔屓目に考えてもポリコレ配慮のためだけに用意されたとしか思えない役回りや説教臭いシーンが無数に存在し、本編の尺が明らかに食われていること。

また、主人公グループは荒くれ者の集団という設定なのに、例外なくリベラル思考であり、LGBTQやフェミニズムに関して異様に理解があって聞き分けも良いというのが全然現実に即していないというのもある。

作品全体について総合的にいえば、割りと雑なシーンが多かったような気がするけど、観て損とまではいかない作品だといえる。ただ、ポリコレ汚染の行き着く先がこれなのか、、?と思うと非常に悲しい気分になったのは否めない。
あーや

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