ジェイコブ

女子高生の無駄づかいのジェイコブのレビュー・感想・評価

女子高生の無駄づかい(2020年製作のドラマ)
4.5
何気に今期の地上波ドラマの中で、唯一見てた作品。内容はあえて紹介する必要もない。とある女子高に通う女子高生達の中身がなく、何も考えずに笑って楽しむコメディ。しかし、そんな得る物が無さそうなドラマだからこそ、学ぶ事は多いと気がついた。そしてそこに、このドラマがTwitterを中心に話題を呼んでいる理由があるのではないか。
知っての通り、今は新型コロナの話題で社会全体が荒んでしまっている。街には活気がなくなり、世界各地で憎悪が撒き散らされている。そんな現状の最中、このドラマと出会った。初めて見た時は、「下らん」と、鼻で笑っていたけれど、何となく毎週見るようになり、気がつけば金曜の日課になった。そして、ふと思った。「何事もない日常」や「友達と馬鹿やって取るに足らない会話をする」。そんな日々にこそ、幸せはあったんじゃないか……?と
かつて日常系のアニメ「けいおん!」が大ヒットを記録した時もそうだった。なぜ、お世辞にもストーリーが優れているわけでもないこの作品が社会現象を巻き起こしたのか。それは当時、リーマンショックが起きて、政治的にも経済的にもボロボロになり、多くの人達がフィクションの中に現実逃避ができる空間を求めていたのが一因ではないか。そして本作品にも同じ原理が当てはまっているように感じる。
普段はHBOのドラマを中心に見ており、話が進めば進むほど悲惨な展開を迎えるものばかりだったけど、時には本作のように、「崩れることのない日常」に価値を見出だせる作品に触れる事も大切に思えた。
そして、今日がその最終回。名残り惜しい限りで、これから何を日課にして生きようかと考えていると、ラストで新キャラをチラ見せし、一切触れずにおわった。……これは、海外ドラマでもよく使われる手法だし、つまり続編を期待せよと言うことと取る。それまでは、それを楽しみに、そして無駄を幸せと思えるように生きるとしよう。