警視-Kのドラマ情報・感想・評価

「警視-K」に投稿された感想・評価

シズヲ

シズヲの感想・評価

3.9
1
勝新太郎の恐るべき刑事ドラマ。アウトロー刑事の事件捜査を一話完結方式で描くという典型的な筋立てなのに、リアリティを重要視する勝新の作家性が反映されたことで異様な作品と化している。ニューシネマやヌーヴェルヴァーグ的というか、作劇性を削ぎ落として淡々と進行していく内容はジョン・カサヴェテス辺りを連想させられる。北野武は『顔役』など勝新の演出に多大な影響を受けているらしいが、実際本作を見ると納得してしまう。

現場での同時録音によって複数人の台詞や周囲の雑音を丸ごと拾っているらしく、音声の大半がボソボソと不明瞭。勝新のノンフィクション本によれば「警官が捜査内容を大声で喋るのはおかしい」などの理屈もあるらしい。また状況説明的な描写も徹底して排除されているので、粗筋はシンプルなのに毎度難解。更にはアップの多用や不親切なカメラワーク(画面の手前に物を配置して役者の姿を隠したりする)など、映像面のアクもとことん強い。「とにかく集中して見ろ」と言わんばかりに視聴者側の状況把握能力を求められる。“ながら見”ではまず内容を理解できないし、一エピソード見るだけでも相当の気力を必要とさせられる。どう見てもゴールデンタイムにやるような代物ではないし、結局打ち切りに遭ったのもまあわかる。

それでも予算すら超過して拘り抜いたという勝新の作風は未だに斬新で凄い。過剰な演出を取り除き、ほぼアドリブで構成したという内容は普遍的な刑事物とは一線を画す臨場感に溢れている。勝新を始めとする役者陣の生々しい演技も秀逸で、ひりつくような緊張感がドラマ全体を支配している(それ故に時折顔を出すユーモアでフフってなる)。不親切とはいえ確かな美学が滲み出ている画面構成も印象的で、半ば映画的な領域に突入しているのが面白い。山下達郎の楽曲などたまに挟まれる音楽はドラマ的ではあるものの、ここぞという場面で用いる演出とムーディーな曲調のおかげで中々に味わい深い。

アバンギャルドであってもカオスではないので、『折れた杖』などに見られる猟奇性に近い実験的演出は控え目。彼方のような混乱した前衛性は物にもよるがあまり得意ではないので、むしろ本作の方が比較的飲み込みやすかった。これを二時間近くやられたら流石に草臥れるとは思うけど、週一のテレビドラマなので尺的にもまだマシな塩梅に収まっている。まあそれでも疲れるくらいには体力を要するものの、中盤辺りからは音声も粗筋も多少捉えやすくなってくる(慣れもあるかもしれないが)。あと“本庁の辺見”の頑固で高慢ちきなキャラクターや警視の部下コンビの掛け合いなどは分かりやすく作劇的なので、その辺りのコメディリリーフ的なシーンは幾分か取っ付きやすい。思えば大ベテランで勝新とも付き合いの長い森一生監督回だけは普通の刑事物っぽかったなあ。

登場人物の話で言うと、勝新演じる主人公は警視には到底見えない威圧的な風体が強烈。なまじ『兵隊やくざ』みたいな見慣れた暴れ方もしないだけに、殆ど大物ヤクザのような凄味がある(部下コンビとの関係性も“親分と下っ端”に近い)。それだけに一人娘と一緒に食事するような人間味溢れる描写が印象深い。必殺手錠投げは作風に対して明らかに浮いているが、まあこれはこれで奇妙な趣がある。手錠投げるのは勝新的にトゥーマッチじゃなかったのか、あるいはドラマ的演出を捩じ込まざるを得なかったのか、後者だと信じたいなあ。中盤ごろには鳴りを潜めたのはある意味安心。

しかし本作が見れるのだから、原典とされる映画『顔役』も円盤化なり配信なりしてほしいところだ。
丸福

丸福の感想・評価

2.0
0
前衛的な刑事ドラマ。

何を話しているのか聞き取れない。
状況を理解できない。

観てるこっちはいっぱい???だらけで中々辛いドラマだった。

勝新さん……色々実験し過ぎ。
レンタル
terrorfactory

terrorfactoryの感想・評価

5.0
0
新文芸坐 オールナイト全13話一挙上映
ザリガーナ

ザリガーナの感想・評価

4.0
0

このレビューはネタバレを含みます

新文芸坐オールナイト組

物語を進めるための作為を隠すための台詞回しが上手い

北見治一の息子回と
拓ボンの死ぬ回が最高潮

あとは眠気に殺されて映像しか覚えてねえ

神泉駅上のガッツベースがまた良い
noritakam

noritakamの感想・評価

3.7
0
川谷拓三
ブタブタ

ブタブタの感想・評価

4.0
0
「必ず、ホシをあげる!」
「はーい!」
の『警視庁・捜査一課長』って勝新の『警視K』と対極にあるドラマだと思う。
勝新太郎・脚本・演出・主演『警視K』
そのアドリブ、即興の演出は「ヌーヴェルヴァーグ」徹底したリアリズム重視の演出は「カサヴェテス」日本ドラマ史上最もカオスな前衛・実験刑事ドラマ。
脚本なし(あるのは勝新の頭の中)、セリフはほぼアドリブ。
出演者全員、自分が何者でこれから何が起きるのかすら分からない。
即興芝居によるリアリズムを追求したらしいがアフレコなし全て現場録音の為みんなボソボソ喋ってるので何言ってるのか全然わかんない。
警視庁の警視Kこと賀津(ガッツ、ガッツなのに何でGじゃなくてK?)は「特別捜査室」を勝手に作り日夜犯罪捜査に当たっている。
特筆すべきは刑事ドラマでありながら何が起こっているのか、捜査をしてるのかしてないのか、ガッツは何がしたいのかボソボソ喋ってて台詞は聞き取れないし何が進行してるのかそれともしてないのか、そのほぼ全てが見てるこっちは分からないという事。
『警視庁・捜査一課長』がまるでコントの様なお約束な世界。
お決まりの展開とお決まりのセリフ。
全てが分かりやすく様式美的なマンネリズムを極限迄突き詰めたドラマで、その割には最後は「防犯カメラに映ってた」とか非常に現実的でつまらないオチになるのに対して『警視K』は徹底したリアリズムの世界でありながら最後の犯人逮捕のくだりになると突然、警視Kが鎖の部分が5mある「輪投げ手錠」という有り得ない武器で犯人を捕まえる。
この「輪投げ手錠」漫画版『ジャイアントロボ・地球の燃え尽きる日』に登場する九大天王の1人、大塚署長も同じ武器を使ってる。
奥さんの玉緒さんがKの別れた妻、本当の娘がKの娘役で出てて最後は必ず娘とキャンピングカーでの食事と会話シーンで終わる。
1回、ゲストは、石橋蓮司さん。
初回でも抜群に安心の悪い人だ(笑)
賀津からの、取り調べに歯切れの悪い返しの蓮司さん、リアリティーある被疑者だわ~。
情報屋、尾張役の川谷拓三さんが映ると、「あれ?東映、見てるんだっけ?」と、錯覚する存在感がすごい。
2回、ゲストは、堀内正美さん。ベストなキャスティング!
色白、なで肩、完璧な幅の二重まぶた、低温動物のような表情、単独犯人(お金あるから仲間不要)、母への嫌悪。
あ~、全部が痺れるカッコよさ!豚野郎発言は、アドリブ?用意されたセリフ?気になる~。
注目は、情報屋、拓ぼんがアイス食べてる時の言葉。
「この話最高、一本 筋が通ったら映画になっちゃうよ」
アドリブだとしたら、拓ぼんから挑戦的な制作をする勝新への賛辞の言葉
だと思った。もちろん、セリフかもしれないけどね。
3回、拓ぼん、お休み?
今宿署に務める警視の賀津は、警視という立場にありながら現場にこだわり、特別捜査室を作って部下の谷とピッピの凸凹コンビとともに独自で事件の捜査を行っている。キャンピングカーで娘の正美と暮らし、娘と過ごす時間を何よりも大切にしていた。賀津はその揺るぎない正義感から、上層部の命令に度々背き、本庁から来たキャリアの辺見に煙たがられていたが……。
言わずとしれた名優勝新太郎監督脚本主演で、1980年に放送された刑事ドラマ。勝新太郎が「リアリティ」にこだわり作ったそのドラマは、1979年に一世を風靡した西部警察へのアンチテーゼにも見える。娘役に実の娘、別れた妻役に妻の中村玉緒を配役した事でも話題となった。しかし、ゴールデン帯の放送で勝新太郎主演という話題作でありながら、平均視聴率は5%台であった。その理由として、徹底したリアリティの追求から、主要な設定以外はほぼアドリブ、同時録音など、ドラマ制作の常識を完全無視した手法をいくつもとっており、第一話の放送後、視聴者から「台詞が何言ってるか聞き取れない」「意味がわからない」という苦情が相次いだという。その原因として、勝新太郎のこだわりが大きく関係している。勝は「事件の経緯を詳しく説明したり、捜査内容を馬鹿でかい声で話す刑事がいるか」という理由から、大事なシーンはほとんどコソコソ話で進められ、字幕がなきゃ、本当に何言ってるのか分からない笑。勝新太郎の熱意もあり、シーズン2の企画もあったが、日本テレビは予算の都合上断念したらしい。打ち切りの理由としてはそれ以外にも制作スタッフや脚本家が勝の我儘やこだわりについていけなかった事もあるとか笑
勝新太郎といえばその豪気な逸話や奔放なプライベートで知られ、謝罪会見と称した場で、世間を挑発するようにタバコをふかしてみせた事はよく知られている。本作はそんな勝新太郎という人柄やエピソードを踏まえてみれば、勝が本作を通してやりたかった事が見えてくる気がする。それは「家族」というテーマだったのではないか。主人公賀津は、どんなに大変な事件を解決しようとも、最後は必ず家族の元に帰る。最終話では、娘のためにタバコを辞める(一年間と言う辺りが面白い笑)から、願いを叶えてほしいと天に向かって願掛けをするシーンがある。勝新太郎は豪気な逸話ばかりに注目が集まるが、家族に対しては自分の素直な気持ちを伝えられないシャイな一面があったと思われる。というのも、彼の残した言葉の中に、「勝新太郎なくして中村玉緒はあり得るが、中村玉緒なくして勝新太郎は成り立たない」というものがあり、中村玉緒氏はその言葉を生きてる間に直接言ってほしかったと呟いているそう。他にも夫婦喧嘩になった際、「お前の怒った顔、それだよそれが見たかったんだ」や「ほら東京タワーが見てるから喧嘩はやめよう」など、ユーモア溢れるエピソードが沢山出てくる。勝新太郎は借金を重ねても豪遊を辞めず、死後莫大な借金を中村玉緒氏に残したと言われているが、心のどこかで家族に迷惑をかけ続けた自分への後悔があり、本作を企画したのはそんな彼の謝罪と感謝が裏に込められていたのではないだろうか。
また本作は、高慢で虚栄心のかたまりである典型的キャリア本庁の辺見や、小悪党だが人情味のある情報屋尾張など、個性あふれる脇役達も魅力的。特に尾張に主軸をおいたエピソード「オワリの日」は、全エピソードを通して見ても、かなりドラマ性の高い仕上がりとなっている。本作の特徴の一つとして、ラストは必ず実の娘との家族団欒を見せながらカメラを徐々に引いて終わるのだが、オワリの日では愛車の上に乗り、空を見上げて尾張の死を悼む賀津という異例の終わり方をしている。尾張演じる名優川谷拓三の残したインパクトは、本作のストーリーに深みを持たせており、賀津にとっても必要不可欠な存在だったことが分かる。
ロケ撮影中心、同時録音、即興演出などの手法を用いてドラマを作った事から、「日本のヌーヴェルヴァーグ」とも呼ばれ、視聴者の苦情やコンプライアンスに囚われず、自分の作りたい作品を貫く姿勢は今こそ評価されるべきである。
拓ボンの純愛第9話と、原田美枝子登場の第10話が白眉。完全にヌーヴェルヴァーグ。なんでこの人犯人なのかとか全く分からなくて凄い。あと勝新しょっちゅうディスコ行く。
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