みち

鎌倉殿の13人のみちのレビュー・感想・評価

鎌倉殿の13人(2022年製作のドラマ)
4.4
1
終盤にかけて一人一人がヒーローになっていく。

これは楽しくなりそう。

2
コメディかと思えば、厳しい現実を見せられてストーリーが引き締まる。その切り替えは頼朝のキャラクターも同じで、そのギャップが気持ちいい。政子と八重のエピソードも新しい。

4
眼力の回。新垣結衣の使い方。素敵な金縛りし過ぎでは。こんな町内会みたいなレベルで源平合戦は始まったのか。

7
ギャグが少し多いか?と思っていたら終盤の頼朝と上総介の対峙が素晴らしい。気持ちのいい一言。佐藤浩一、いい使い方だね。秀衡も義経も顔が良すぎる。

10
この回今までで一番。
女のいくさと男のいくさ。
そして九郎の覚醒!

12
政子の怒りのクライマックス、女のいくさもここまできた。
政子と義母の関係性がいい。

13
女のいくさの終着点。頼朝のダメさ加減と、女たちの力強さ。
義時の愛し方、賛否両論あるだろうが、軸が通っていて好きだなあ。その背中に尽くします。あれだけ出来上がったキャラクターだからこそ真っ直ぐに伝わってくるセリフ。(歴史物でよくあるように)八重が架空の人物ではなくて、義時と八重の物語が後世にも残されてるのが嬉しい。

15
ヒーローが次々と生まれていく。義時、上総介、政子。展開の面白さと、それを上回る闇の深さ。鎌倉殿が最強。御家人は使い捨ての駒。これが武士の世。これが武家の棟梁。

17 助命と宿命
──我らはもう、かつての我らではないのです。

武士の世の現実。
残酷さがどこまでも切ない。

30
全成は最後の最後に霊験あらたかに。だけどそのこと自体が彼の神通力のなさを表しているような。だって頼家への謀反を疑われた最後になって初めて、自分にはその力があったと示してしまったのだからね。出てほしい時に出ない、全成の確率。だからこそ愛せる。

31
あの縁側をゆく義時の歩み、回想される亡き兄の言葉。坂東武者の頂点を夢見た兄の言葉と、今自分が屍の上に立つ頂点との距離は。一気に引き戻された。

32
タイトルが今回も秀逸。災いの種、が指す人物がストーリーと共に変化していく。生き返った頼家、生きていた一幡、本当の災いの種となる善哉。去り際にみんなヒーローになるのは相変わらず。堀田真由よかった!

33
修善寺で交錯する親子の思い。義時と泰時。善児とトウ。迷いは救い。そして頼家の最期。どんな見せ場になるかと思えば、今までにない殺陣で見せてくれた。あの巻狩りの頃は、弓矢もろくに打てなかった頼家が、どうしてここまで強くなったのか。最期の足掻きと読むよりは、負けず嫌いの頼家がどこまでも武家の棟梁であろうとした証、と読みたい。朝廷に取り入ることで権力を固めようと考えた頃、夜中まで蹴鞠の練習をしたように、武道の鍛錬も怠ることのなかった人物なのでは。

35
将軍の悩みは、過去の誰かの、未来の誰かの悩みに。歴史物語だからこそ響くセリフ。

36
──政を正しく導くことのできぬものが上に立つ。あってはならないことです。

──これまでと同じことをするだけです。

義時の抱える業と苦悩の重みに圧倒される。そしてまたヒーローになる畠山。首実検は、為政者が自らの権力の重みを知るということでもあったのか。時政と三浦と尼将軍への伏線も万全。時政は誰かのために生きる人だったんだな。

37
時政は、自分の身に何が起こるかわかっていて、最後に誰を笑わせたいか、最後に誰のそばにいたいか、全部考えて自分で選んだんだ。一番泣ける回。このタイトルは、時政にとって、命に代えても守りたい時間の象徴なんだな。

38
──小四郎は、無念にございます。父上には、この先もずっとそばにいてほしかった。

──お恨み申し上げます。

覚悟を決めた時政、娘の命乞い。積み重ねられたエピソードが泣かせるんだなあ。時政も、家族も、みんな頭を下げるんだ。そして父と息子、二人きりになって、ただその時だけ、義時は息子に帰れるんだ。お恨み申し上げます。愛のある台詞。

39
実朝、素晴らしい俳優じゃないか。切なすぎる。三浦の苦悩も響く。このタイミングでこれを挟んでくる、嵐の前の静けさの使い方。

40
死んでゆくのだとわかっているキャラクターの輝き。それをわかった脚本。

41
また、凄まじい死に様を作った。実朝を変えるには十分すぎる出来事。

42
権力者たちは混迷し、思惑は錯綜する。

44
──ここからは修羅の道だ。付き合ってくれるな。

そうか、こうして義時も意思を固めたのか。実朝があまりに不憫。いつも誰かを思って。そしてまさかの展開。すでに悲劇である事件を、描けうる限りの悲劇にする下準備。

45
──我らは一心同体。

48
いずれの人物たちも、如何に死ぬか、のドラマだったが、ここにきて死に様が予想を超えてきた。まだ震えている。冒頭からのコメディの演出で気を抜かせておいて、これはすごい。父と子の物語であり、姉と弟の物語であり。これまでの人物たちの総集編、みたいな安易な作りにはせず、最後まである意味残酷に描き抜いたわけだ。ちょうどすぐ上に書いた45回のセリフがもう一度刺さった。
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