であれば

カルテットのであればのレビュー・感想・評価

カルテット(2017年製作のドラマ)
5.0
「形式だけの結婚」から愛を付け加えていった『逃げ恥』から、愛が失われていってしまった結婚を描いた『カルテット』へのえげつないバトンタッチ。

脚本は坂元裕二なのでもちろんのこと台詞回しと優しくて弱い登場人物たちがとても良い。皮肉っぽい名台詞がポンポンとポップコーンのように小さく飛び回る。そしてそんなちょっとした名台詞が後からピリピリ効いてくる。ほろ苦かったり甘かったり酸っぱかったりとろけそうだったり、美食のようなスクリプトと名だたる俳優たちの好演。

松たか子満島ひかり高橋一生松田龍平の4人と坂元裕二なので当然のように面白い、一歩間違えれば白々しくて臭くなってしまう坂元裕二台詞をよくもまああんなしれっと吐けるなと思う。
そしてなにより松たか子、一話から良い人なのかそうでないのか底知れなさが凄い。何を考えてるのか一切読ませない。なのに何も言わなくても言いたいことがすべて伝わってくる。優しくて無責任、したたかで脆く、残酷なのに愛情深い。松たか子が泣くとこっちも悲しくなってしまう。


おとなになったら「大人」になれるのかと思えば実のところそうでもなくて、叶わない夢を夢にしてしまうのか趣味にしてしまうのかいつまで経っても選べないでいたりする。うっかり恋をしてしまって知らないふりができなかったり、かつて自分がこぼした何気ない一言やかつての分岐点が今になって自分を責めてきたり。いつまでも決着をつけられなかったことをずっとずっと後悔したりもする。「大人なんだから」は言い訳にしかならなくて、「大人なんだけど」どうしようもないことばかり起こる。それでも幸福になったり不幸になったりしながら慌ただしく生きてさえいけばいつかほんとに「大人」になれる、それがおとなの掟なんだろう。そしてそんな「大人」は秘密が上手い。「こぼれちゃったのかな」は結局、どちらの意味だったんだろうね。