鹿苑寺と慈照寺

カルテットの鹿苑寺と慈照寺のレビュー・感想・評価

カルテット(2017年製作のドラマ)
4.4
「大豆田とわ子と三人の元夫」に続き、坂元裕二作品を鑑賞しました。

それぞれに嘘を抱えた4人の男女、真紀(松たか子)、すずめ(満島ひかり)、家森(高橋一生)、別府(松田龍平)。弦楽奏者という共通点を持つ4人がひょんなことから出会い、カルテットを組み、軽井沢の別荘で共同生活を送る。

冒頭でそもそも4人の中にある企みを持つ人物がいることが明らかになり、4人の出会いは決して偶然ではないことがわかる。それぞれが思惑を持ちながら、共同生活を送るうちに恋愛感情が芽生えるようになる。

本作はラブストーリーの要素もあるんだけれど、注目したいのは「家族とは?家族のあり方とは?」ということ。

4人それぞれが家族というものに対して嘘、秘密、劣等感を抱えている。

回を追うごとに、なぜそこまで家族というものに固執するのか、肉親であっても決して家族とは思えないという複雑な感情、家族全員が優秀なのに自分だけが平凡、会いたいのに自分の子供には会えないという寂しさが明らかになる。

家族というものを最も象徴的に表現しているのは2つかなと思う。

1つ目は真紀の過去。家族を欲し、家族に固執した真紀。結婚して夫婦になって、それでもパートナーとは方向性が全く異なる。

「夫婦ってなんだろう。ずっと考えてたけどわからなかった」と真紀が語るシーンがあり、これはそのまま家族に置き換えても問題ないと思う。

2つ目はすずめの過去に関わるシーンでの真紀とすずめがカツ丼を食べるシーン。この場面がとにかく素晴らしい。もはやただの他人である真紀とすずめは家族なのではないかと思えるほど。

「泣きながらご飯食べたことある人は生きていけます」と語る真紀自身にもその経験があるのではないかと思えるほどの実在感のある台詞に感動した。

4人それぞれが嘘と秘密を持ち寄って生じた関係性だけれど、恋人とも友達とも違う、まるで家族のような関係性への着地。平凡な感想だけれど、血の繋がりだけが家族じゃないよなあと思わずにいられなかった。

本作はミステリーの要素も多く含んでおり、序盤で明かされる前提が中盤でひっくり返され、終盤でさらにどんでん返しが巻き起こる展開。そうだったのか!!!と驚いた。ミステリーとしても一級品でめちゃくちゃ楽しめた。

「大豆田とわ子と三人の元夫」と同様に会話劇の要素も多分に含まれており、心に残る台詞もたくさんあって最高だった。個人的に印象に残った台詞は下記のメモに書いておきました。

めちゃくちゃ面白かったです。
唐揚げを食べる際にはレモンの扱い方に気をつけましょう、そして、パセリのことも忘れないようにしましょう。

鑑賞日
2022年1月16日〜1月24日

以下は個人的メモ
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第1話
友達になるだけの簡単なお仕事

イチローのエラー動画集

バディーソープ

ベンジャミンさんは5年前からずっと余命6ヶ月

真紀「夫婦って……なんだと思います」
バスの騒音で聞こえない。

ベンジャミンを蹴落とす真紀。なぜそこまでするのか?

真紀「余命何ヶ月ってついていい嘘なんですか?」

2話
谷間谷間って言いすぎやろ。笑

「私たち、好きなことで生きていく人にはなれなかったんです」

指輪を付けかえる真紀

「夫婦ってなんなんだろうって思いました」
「夫婦って別れられる家族、なんだと思います」
→バスの騒音で聞こえなかったときの答え合わせ

人生には3つ坂がある。上り坂、下り坂、まさか

「愛してるけど、好きじゃない」

満島ひかりってほんとに影のある役が似合うなあ。

「息子は失踪なんかしていません」

「俺は偶然を運命に変えるチャンスを3回も逃したんだ」

「寒い朝にサッポロ一番を食べたら美味しかった。それが私とあなたのクライマックスでいいんじゃない」

やっぱりすずめは起きてたか。

松田龍平の紅

「すずめちゃんってお線香の匂い後がする」

3話
「告白は子供がすることですよ。大人は誘惑してください。誘惑は人間を捨てることです」

「女からキスしたら男に恋は生まれません」

「特別な関係に見えちゃいますよ」

「あの人やめといた方がいいよ。お姉ちゃん、淀君だから」笑

「家族だから行かなきゃダメかな」

真紀とすずめがカツ丼を食べるシーンがあまりにも良すぎる。

「泣きながらご飯食べたことある人は生きていけます」

4話
つべこべ言わずにごみを出せよ。

実は元嫁がいて子供もいて、宝くじが当たって、子供のときに自転車で日本一周したという情報量の多い家森さん

すずめのマスクがアベノマスク級に小さい。

5話
「生卵投げられちゃう」笑

「ていうかあ仕事だし」

「志のある三流は四流だからね」

「例えば、すずめちゃんなんて嘘が全然ない人だし」

吉岡里帆の目が怖い。

6話
「好きじゃなくなったからです」

「巻真紀になっちゃうけどいいかな?」
「そんなプロポーズないでしょ」

唐揚げにレモン

微妙なズレ。温度差。

鍋敷き代わりに貸した本を使われる。

家森「僕の結婚は地獄です」笑

唐揚げにレモンをかける問題

「愛してるけど好きじゃないんだよ。それが結婚」

真紀「私は家族が欲しくて結婚して」
幹生「結婚しても恋人のように思っていたくて」

「夫婦ってなんだろう。ずっと考えてたけどわからなかった」

7話
「幹生の冒険の話が聞きたい。この1年の」

「こんな面白くないもの面白いって言うんなんて面白い人だなあって」

8話
ババアの説教中に飯を盗み食いするカルテット

「好きだってこと忘れくらいいつも好きです」
良い台詞

入れ代わり立ち代わり人の蕎麦を食うなよ。笑

「全然ダメでしょ。ダメ人間じゃん」

「君の好きはどこにいくの?置き場所に困らないかね」

「みんながみんな向上心を持つ必要ないと思います。みんながみんなお金持ちを目指してるわけじゃないし。みんながみんな競争してるわけじゃないし。一人ひとりちょうどいい場所ってあるんだと思います」

SAJの三段活用。
好きです。ありがとう。冗談です。

あら、家森さんってそうなの???
すずめを片思い???

早乙女真紀じゃない???真紀は一体誰?
「じゃあ誰なんですか?」
「誰なんでしょう。誰でもない女です
ね」

9話
ここで「上り坂 下り坂 ま坂」

そうか、だから真紀はあれだけ家族というものに固執したのか。

有朱、マジですげえ根性してるな。笑

家森さんの有朱に対する「こっちから連絡します」の意趣返しが最高。

真紀は家族のことがあったからみんなとの繋がりを求めたのか。

すずめの「どうでもいい。すっごくどうでもいい」がめちゃくちゃ優しい。

「真紀さんは奏者でしょ。音楽は戻らないよ。前に進むだけだよ」

すずめが真紀にかける言葉がとにかく暖かい。

10話

「それによっておびき出されるのはお巡りさんだね。今でさえトリオなのにデュエットドーナツホールになっちゃうよ」

良い再会の仕方

有朱「人生チョロかった」

死と乙女

唐揚げとレモン。今度はパセリ。
「食べても食べなくてもいいの。ここにパセリがあるのを忘れないで」
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