あさ

愛の不時着のあさのレビュー・感想・評価

愛の不時着(2019年製作のドラマ)
4.8
余韻に浸る。良かったな〜。
1話見て放置してたけど、どんどん止まらなくなってた。(以下9割感想ですがネタバレ含みます)

何が凄かったって、登場人物ひとりひとりにちゃんと焦点を当ててたこと。見れば見るほどみんなに愛着やら人間味がみえて、すごくドラマらしかった。そして、人は必ずしも第一印象だけではわからないってことを改めて考えさせられた。視聴者としての第一歩は「北朝鮮人ってこんな生活なのか」程度だったからこそ。

このドラマで描かれた北朝鮮での生活がどこまでリアルかはわからないけれど、沢山調べて描いたのだろうなと信じてる(部分的だけどそういう記事も見かけた)。難しいテーマなのに、比較的文化を尊重して描かれてたと思う。想像でしかない世界だけれど、それでも興味を持った。

北アイルランドがイギリスとベルファスト合意を結んだのも、1998年なんだよな。今まで感心持ってたことと少し重ねながら見てた。陸続きであっても越えられないボーダー。同じ言葉を話すのに。いつしか、世界はベルリンの壁崩壊以降、東西関係から南北問題に変化したっていってる教授がいた。国同士の距離が近かろうが、ここまで文化が違うとやはり帰属意識も違う。条約上の和睦でも、長い長い月日がかかる。

今もアメリカで黒人差別がまた話題になっているように、統合の未来が来ても紛争は続くと思う。それでも、ユンセリが言うように「美しい世の中になってほしい」と願うのはいけないことか。どうか自由に人が移動でき、過度な監視のない社会で自由に過ごすことができないんだろうか。涙が止まらない。

貧困問題も。主人公たちがリッチだったけれど、そうじゃなかったらスイスでなんて会えないんだろう。きっと9割はそう。その場合、再会の術はほんとうに統一か脱北しかないんだろうから。10年以内に進展しないかな。他人事じゃないよな。韓日戦で盛り上がるのを見て笑いながら泣いたよ。愛すべき中隊員たちも、訓練兵は日本を敵だと思ってる社会と現実だね。

見てて面白いなと思う文化は沢山あったんだけど、交通インフラに勤める女性が多いのとか、列車の物売りとか印象的やった。女性の立場はかなり家庭的ではあるものの、人民班長しかり、社会的役割は強いなあという印象。部分的にだろうけど。
ソ・ダンの生き方もこれだけ恋愛ゴリ押しの展開から考えて、すごくかっこよかったな。どうか自分の道を歩んで、幸せに、強く生きてほしい。

以下は好きだったセリフ。

「南極やアフリカにだって行けるのに
よりによってあなたは ここにいるのね」

「ファンが怒るとアンチよりも怖い」 

「見てみたい 君に白髪が生えて
 シワもできて 老いていく姿を
 きれいだろうな」
これは今まで聞いたどんなセリフの中でも素敵だった。
あさ

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