ちちうえ

男たちの旅路のちちうえのレビュー・感想・評価

男たちの旅路(1977年製作のドラマ)
5.0
はじめて山田太一という脚本家の名前を意識した作品

特攻隊の生き残りで警備会社に勤める鶴田浩二が若い世代の水谷豊や桃井かおりと衝突しながら様々な事件に対応していくという内容で1シリーズ3回で数年ごとに放送していた。

リアルタイムで見始めたのは第2シリーズ「冬の樹」。竹井みどりと滝田裕介がゲストの回からだった。
竹井みどりがコンサートで怪我をして父親の滝田裕介が、警備会社を非難し、対応にあたる鶴田浩二はこの父親に説教してしまう。不良娘に対しての対応が決まらない父親に対して「抱きしめてやるか、叱るか、どうして態度が決まらないんだ。」と説教していている鶴田浩二のセリフが強烈に印象に残った。

そこから追いかけて観続けたが、第3シリーズと第4シリーズは名作ばかりだった。最後のスペシャルの「戦場は遥かになりて」はあまり良くなかった。
全編、鶴田浩二の名説教のオンパレードだった。


第3シリーズは3本
「シルバーシート」老人問題を扱い志村喬、笠智衆、加藤嘉、藤原釜足、殿山泰司、など昭和の名優が勢ぞろいだった。
「墓場の島」マネージャー(高松英郎)のいいなりの人気歌手(根津甚八)が歌手を辞めるかどうか葛藤する話。根津甚八を初めて知った
「別離」桃井かおりと鶴田浩二の恋愛と別れ。娘ほど年齢が離れている桃井かおりの想いを受け入れる鶴田浩二、最後は桃井かおりが病気で亡くなり鶴田浩二は姿を消す。


当然、内容的に誰もがここで終了と思ったが数年後に第4シリーズが放送される。


桃井かおりが出演しておらず、水谷豊も「流氷」で鶴田浩二を呼び戻した後は退場し、清水健太郎と岸本加代子が若い世代として新たにレギュラーになったが、水谷豊と桃井かおりのコンビに比べると魅力がなかった。


第4シリーズも3本
「流氷」行方をくらませた鶴田浩二を水谷豊が探し出し東京へ連れ戻す。
「影の領域」不正に手を貸している梅宮辰夫に対し、若い2人が「世間はそんなもんだ」と納得してしまっていることに鶴田浩二が憤る。



そして「車輪の一歩」。
この作品のクオリティの高さは尋常ではない
当時はバリアフリーの社会ではなく、駅や公共の場で階段や段差は当たり前だったので、車椅子の人が外出するには大変な勇気が必要だった。車椅子の人たちと健常者がどうやったらうまく共存していけるのか?

「(車椅子の人が健常者に)多少の迷惑をかけてもいいんじゃないか」という鶴田浩二の提案

車椅子の青年「特別な人生・・・」鶴田浩二「一段下とか上とかを言ってるんじゃないんだ」という会話

母一人子一人で生活し、なかなか外へ出る勇気がでない斉藤とも子扮する車椅子の少女に対して「お母さんが望んでいるのは、君が一人で生きていけることなんだ。」「自分で決めなければいけないと言ってるんだ。自分の人生じゃないか」と強くさとす鶴田浩二。

斉藤洋介が車椅子でソープランドに行き、結局すべての店で入店を断られて打ちひしがれて帰ってくるエピソードは涙なくしては見れない。飲んだくれの親父が「チップけちるんじゃねえぞ」というところも泣かせる

最後、外へ出ていくことを決意した斉藤とも子が駅の階段で「誰か、私を上にあげて下さい」と声を出し、それに答えて車椅子を上にあげる人達。
少し離れて見守っていた赤木春恵の母親が泣き崩れる。
若い警備員たちは車椅子をあげる手伝いに行き、鶴田浩二は赤木春恵の方へ足を向ける。
「終」のタイトルが涙で見えない。

車椅子の障害者役のまだ若い役者たち(斉藤とも子、古尾谷雅人、斉藤洋介、京本政樹、水上功治)の新鮮な演技、斉藤とも子の母親役の赤木春恵も名演だった。