こたつむり

プリズン・ブレイク シーズンⅢのこたつむりのレビュー・感想・評価

3.5
★ 房、暴、謀、亡 紙切れのような命
  望、紡、貌、冒 だから燃やし尽くす

今回の舞台はパナマの牢獄。
シーズン1の刑務所が天国に思える“世紀末救世主伝説を彷彿させる”場所ですが、やること(脱獄すること)は同じ。テンポが悪いと飽きてしまう恐れがありましたが…幸運にも外部的要因でシーズンが短くなり、テンポが良くなっていました。

ただ、それでも全体的に漂う微妙な感覚。
何しろ、主人公のマイケルが面白くないのです。

彼はある意味で完璧超人。
美しい容貌、類まれなる頭脳と洞察力、そして行動力、決断力…と能力値AAAクラスなので、共感すべき弱さが見えないのです。あえて言えば、恋人(サラ)に対する想いは弱点ですが、ゲップが出るくらいに甘ったるいので、ちょっと共感しづらいのです。

また、血縁に恵まれていないのも弱点ですかね。そもそも、彼が収監されたのはお兄ちゃんを助けることが発端。なのに、このお兄ちゃんが単細胞で如何ともしがたいので、その印象に引きずられて、マイケルも微妙に感じてしまうのです。まさに疫病神ですね。

だからねえ。
物語を盛り上げようとしても、イマイチなのですよねえ。

それと“組織”の存在も微妙でした。
「政府の陰謀」と語られて面白いのは全貌が見えるまで。引っ張れば引っ張るほど陳腐になり、飽きてしまうのです。組織の力学を代弁するグレッチェンは魅力的なキャラクターですが…悪印象を払拭できるほどではありませんでした。

ただ、そんな中で救世主はベリック先輩。
丹念に土壌を耕し、種をまき、水を与えた甲斐があって、味わい深いのです。勿論、ティーバッグやマホーンも良いですよ。やはり、この物語は脇役が重要ですな。

まあ、そんなわけで。
そろそろ失速が目に見えてきたシーズン。
とは言え、土俵際でギリギリ残っていたと思いますので、鷹揚な気持ちで捉えるが吉。登場人物(お兄ちゃん以外)に萌えることをオススメします。
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