tetsu

あと3回、君に会えるのtetsuのレビュー・感想・評価

あと3回、君に会える(2020年製作のドラマ)
3.9
かなり好みだった映画『サヨナラまでの30分』の監督&脚本コンビ、official髭男dismが主題歌ということを聞き、万全に待機して鑑賞。

映像関係の仕事に就いている主人公・楓。
取材現場で青年・征史郎と出会った彼女は、その日から、何故か、あと3回しか会えない相手に謎のサインが見えるようになり...。

『サヨナラまでの30分』には及ばないものの、確実に、その世界観を継いだ単発恋愛ドラマの秀作でした。

2作品に共通して言えるのは、
ありふれた日常描写にSF要素を介入させていること、そして、それが、日々の大切さや人を愛することを際立たせるという部分なのでしょうね...。
(特に子供と年配の方の登場は、ズルい。泣いてしまう...。笑)
また、脚本家の大島里美さんの過去作を見ると、『君と100回目の恋』もあり、ある種、ドラえもんにも通ずる世界観のようにも思いました。

主人公がちゃっかり映画オタクな設定で、アッバスキアロスタミを語るwというのは、何とも作り手の趣味が出ていて良かったですし、『サヨナラまでの30分』と同様に、光が差し込む夜の室内の場面が美しく、暗い部屋をここまでロマンチックに撮れる監督は、この人だけなのでは?と思うほどでした。


**************************************


ただ、一方で、似た設定を持った『フォルトゥナの瞳』(この作品では死ぬ前の人が透明に見える。)同様、超能力者が多発してしまうという点は、何ともノイズになっているような気も。

また、切ないラストもヒロインとシェフ・澤村の関係性をもう少し描いてほしかったという点で唐突な印象も受けたため、(2時間という尺だから仕方ない部分はあるが、)『LALALAND』のコピーの様に感じてしまったのは、少しありました...。


**************************************


というわけで、
『サヨナラまでの30分』同様、「別れ」を印象的に描いた本作。
放送2日前に決定した「オリンピックの延期」に合わせて、アフレコを再録するなど、TVならではの部分も楽しめる名作単発ドラマでした。



以下、本作のスピンオフドラマ(『あと10+3回、君に会える』)についての感想。

**************************************

そんな本作、実はU-NEXTとの共同で制作された作品。
そのため、U-NEXTではスピンオフドラマを観ることが出来ると聞き、 こちらも鑑賞してみました。

ある秘密を持った青年・征史郎。
彼の目線で描く、もうひとつの物語。

というわけで、観てみたのですが、ほとんど同じでしたね...。笑

基本的には、放送したバージョンに、多少、征史郎目線の映像が入るくらいで、物語に大きな変化はなし。

挿話となる塚本高史さんのエピソードもそこまで期待するほどの内容は描かれないので、わざわざ観るほどではありませんでした...。汗

ただ、征史郎のその後を描く数秒のエピローグが増えているので、地上波版を鑑賞した方は、そこだけ確認で観てみるのをオススメします。
tetsu

tetsu