そのじつ

竜の道 二つの顔の復讐者のそのじつのレビュー・感想・評価

竜の道 二つの顔の復讐者(2020年製作のドラマ)
4.0
いいです!ドロドロとした復讐劇で、親の仇を討つために手段を選ばない主人公たちは悪人!けれど時に心が揺れ、愛する者の前で仮面が剥がれそうになる。ふてぶてしい表皮の下の繊細さが見え隠れするところに色気を感じてしまいます。

その強さと脆さが同居する兄・竜一に玉木宏ハマってます。ヤクザの親分役・西郷輝彦に見込まれ、度々会談シーンがあり萌えます。このふたりの間に感じる色気はなにか?と思っていたら・・のちのち理由が。
兄を支え復讐計画を共同ですすめる弟・竜二の高橋一生がまたいい。強い喜怒哀楽を出さない抑えた演技が、柔軟で強い竜二を見事に作り上げている。

脇役のキャストもよくて、松本まりかのゲスと少女が同居するまゆみ役がすごく好きだ。3話に登場した尾上寛之もゲス役上手くて好き。

このドラマを紹介してくれた友人は「昭和の香りがする」と評していたけれど、私も同感です。昭和世代の人間には馴染みのある世界で居心地いいです。
兄弟が密会する(ほんと「密会」て感じ)場末のアパート(ホテル?)の部屋はピンクのネオンが差し込むブラインドが妖しく如何にも。
兄を弟が慰め抱きしめるシーンはいつも波止場。港を背景にシットリとしたシーンが沁みる・・けどこれも懐かしみ。いいわあ。

脚本の篠﨑絵里子さん、NHK朝ドラ『まれ』でゾッコンになった良い印象の方。本作もすばらしいです。

セカオワの主題歌のスリリングかつ切ない曲調がドラマにぴったしハマってる。BGMもよい。文句のつけどころが無い夢中になれるドラマで嬉しい。 

最終話。よかったです。良くも悪くも竜一の物語でした。竜一の見せた一本気な強さ、脆さがにじまぜる色気、もろもろが玉木宏にピッタリでよかった。助手の彼女に「死にそうな目をしてた」と言われてましたが、ホントしょっちゅう死にそうな顔してたなあ。その竜一の「ほっとけない感」に多くの男女が引き寄せられ、この結末へたどり着いた感じです。竜一の磁力ハンパない。
まゆみだけはちょっぴり哀しみを背負ったイイ女へと成長して良かった。破滅型の竜一に磁力を感じなかったのが幸いしたか。

『まれ』でも篠﨑絵里子さん、パティシエの師匠(小日向文世)と弟子(土屋太鳳)の師弟関係のあいだの色気を濃厚に見せてきて超釣られた。つくづく好みの脚本を書いてくれる方だと本作であらためて感じました。
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