にゃん

竜の道 二つの顔の復讐者のにゃんのネタバレレビュー・内容・結末

竜の道 二つの顔の復讐者(2020年製作のドラマ)
3.3

このレビューはネタバレを含みます


復讐を終え叶うはずだった兄弟3人としての食事。しかしそれも叶わず、何も知らずに帰りを待つ竜二と美佐。夢の中で3人での食事を見る竜一。セカオワのumbrellaが背景でかかり凄く涙を誘うラストシーンだった。

竜一があの時心臓発作の薬を渡していれば、竜一が誰一人殺していなければ、きっと3人で暮らせていけたかもしれないのに。
復讐を遂げる為に誰かを殺して、その誰かも誰かの大切な人で。
復讐は復讐しか生まない。

キリシマ急便をanywaysに吸収合併させ霧島社長の手から奪うという復讐は成功したが、全然ハッピーなエンドではない。だけど全体のストーリー的に締まりのあるラストだった。




ストーリー↓
1
1997年、福岡。幼いころに実の両親に捨てられ、小さな運送会社を営む吉江夫妻の養子として引き取られた双子の竜一(少年時代:阪本光希)と竜二(少年時代:阪本颯希)は、夫妻の実の娘である5歳の妹・美佐(幼少期:宮地美然)と仲良く暮らしていた。しかし、全国への事業拡大を企むキリシマ急便の社長・霧島源平(遠藤憲一)の悪質な乗っ取りに遭い、多額の借金を抱えた養父母は自殺。養父母が源平に追い詰められる姿を間近で見ていた竜一と竜二は、源平への復讐を誓い合う。
それから7年後の2004年。22歳の竜一は、たばこの不始末による火事で死んだと見せかけるが、その数カ月後、竜二(高橋一生)の前に現れたのは、整形し名も変えた竜一(玉木宏)。
竜一は裏社会の人間として、竜二は国土交通省のエリート官僚として、源平やキリシマ急便の周辺の情報を探っていく。成長した美佐(松本穂香)にも本当のことを告げず、復讐計画を進めていく2人は、ついにキリシマ急便の不祥事のネタをつかむが途中でヤクザ組織会長・曽根村(西郷輝彦)に身分を偽ってることと目的がバレブラジルに飛び、再び今度は凄腕の経営コンサルタントとして日本に戻るのであった。

2
キリシマ急便の得意先企業の炎上騒動に乗じて、経営コンサルタントとして霧島源平に近づこうとする竜一。しかし、竜一が最初にコンサルした会社トッキービーンズの砂川(今野浩喜)に竜二との会話を聞かれ、源平への復讐計画を知られてしまう。このままでは、すべての計画が台無しに……。もはや一刻の猶予もないと悟った2人は、父・源平の強引なやり方に反発する跡取り息子の晃(細田善彦)を利用し、次の手を打つことにする。そんななか、竜二に会うためにホテルを訪れた竜一は、そこで偶然、上京が決まった妹の美佐(松本穂香)と再会。美佐は竜二から知人だと紹介された竜一が、まさか死んだはずのもう1人の兄だとは知るよしもない。
その後、キリシマ急便のパーティーに参加した竜一は、竜二のアシストで晃に近づくことに成功。
源平の元にも何食わぬ顔であいさつに行くが、そこへ、砂川が現れて計画をバラされるピンチに陥るが砂川は暴露せず、寧ろ兄弟の仲間にしてほしい、今の会社を辞めると言い出す。

3
霧島源平の息子である晃の信頼を勝ち取り、計画通りキリシマ急便の経営コンサルタントの座についた竜一。しかし晃は父の経営方針に反発するため源平はまゆみ(松本まりか)の婿養子を後継としようとする。一方の竜二は、まゆみの婿養子として、有力政治家を父に持つ同じ国交省の三栗谷仁志(尾上寛之)を迎え入れ、後継者にしようとしていることを知り、まゆみへ積極的にアプローチをかけ始める。そんな中、竜二は大臣が絡む重要なプレゼン案件を任される。復讐のために出世を狙う竜二は精力的に取り組むが三栗谷に悉く邪魔をされる。竜二は竜一に相談。結果竜一は三栗谷の父の不正な金を暴き竜二は三栗谷の嫌がらせの瞬間を抑えた動画を本人に突きつけ、三栗谷家へ対する霧島の信用を失わせることに成功し婿養子の話は消えることに。

4
ネット通信販売大手のエニイウェイズとの契約を勝ち取るため、無謀な業務拡大を加速する霧島源平。竜一はそんな源平に対して反発を強める息子の晃に、クーデターを起こすようけしかける。そんな中、経済記者の沖(落合モトキ)が、UDコーポレーションを訪ね、その時竜一の写真を撮られてしまう。沖がその写真を眺めながら居酒屋で飲んだ時隣に居合わせた男が竜一がヤクザだった頃の同僚で、名前が違う事を含めブラジルに行く前の事がバレてしまう。
一方、まゆみからホームパーティーに招待された美佐は、竜二がまゆみとの結婚を望んでいることを知る。傲慢なまゆみの態度に戸惑いながらも美佐は、「私は妹にはならない」と、竜二と血のつながりがないことを告白。すると、美佐に対するまゆみの気持ちは嫉妬に変わりその日を境にクラブの舎弟ホストを使い美佐を尾行し追い回すなど痛めつける。
両親の形見の人形がキリシマ急便のグッズだったこと、そして霧島家の娘であるまゆみと竜二の不自然な関係に疑問を感じた美佐が過去を知ろうと動き出したことを知った竜一は美佐を舎弟ホストから守りつつ霧島家に近づくなと忠告する。それは美佐が変に霧島に正体を言って復讐が失敗することを恐れてだった。

5
美佐が両親の自殺の原因を知ってしまった。まゆみに近づいたのは、キリシマ急便への復讐が目的なのではないか?美佐に問い詰められた竜二は何とかその場をやり過ごすが、一方で、美佐がひそかに竜一を頼りにしていることに気づき、胸のざわつきを覚える。竜一も美佐を1人の女性として見ていた。しかし竜一はブラジルへの逃走金10億を奪う為に人を殺している負い目から美佐のそばにはいられない、と気持ちを押し殺す。
それからしばらくして、竜二は視察という名目でキリシマ急便へ。国交省での自分の立場を示すことで、霧島源平にプレッシャーをかけようとする竜二に対し、源平は竜二の過去を調べ上げ吉江家の息子だと気付き"復讐する為に近づいたのでは?"と問う。しかし竜二は「親のような負け犬にはなりたくない」と否定しその場をやり過ごす。
一方、竜一は、晃を使って源平を追い出すクーデター計画を進めていくが、自分の復讐計画が美佐や周りの人間を巻き込んでいくことに内心苦しんでいた。さらに、憎しみに耐えながら源平と良好な関係を築こうとする竜二を気の毒に思いはじめる。

6
竜二と真剣に付き合うことを決めたまゆみは、美佐との親交を深め、さらに、偶々居合わせたことで竜一と竜二、晃を含めた5人で食事をすることに。その席で、竜二が復讐のためにまゆみに近づこうとしているのではと疑う美佐を前に、竜一と竜二は復讐のことは隠しつつ暴露。それは社長退任実行に迷う晃の尻を叩く為であった。しかし、会話は思わぬ方向に進んでいき美佐の初恋が竜一であると気づいてしまう。
後日、晃が取締役の半数以上を味方につけ、霧島源平追放に向けたカウントダウンが始まる。一方、夫と息子の関係悪化に胸を痛める芙有子は、2人の仲を取りもとうと源平に歩み寄るが、貧困になった芙有子の実家を助ける為に結婚したようなもので、源平を軽蔑していると考え、芙有子の話を聞こうともせず、怒りを爆発させる。ところがその矢先、芙有子が突然心筋梗塞になり亡くなってしまう。生気を失った源平に竜一は今がチャンスとばかりに取締役会を決行するが、当日なんと晃が計画から降りたのだ。それは母の残した手紙「お父さんと協力して」の言葉で父と敵対することを疑問に思い始めたからであった。

7
芙有子を失った霧島源平は、悲しみを打ち消すかのように、さらに危険な経営へと暴走。以前にも増して仕事に没頭。何とかして大手通販会社との契約を勝ち取ろうと躍起になる。源平の焦りに乗じて、竜一と竜二は、曽根村の手を借り二見という会社をクビにされた事を恨む男の殺人依頼をしている所を動画に収め、源平を“殺人者”に仕立て上げて社会から抹殺しようという作戦だった。
この計画ですべてが終わるかに思われたが、曽根村が"霧島に依頼された為、二見を殺すまでデータは渡さない"との裏切りにより、竜一が二見を殺さなければならなくなる。しかし二度と人を殺すなと竜二に言われている為二見は金を持たせて逃すのであった。
一方、記者の沖(落合モトキ)が竜一を嗅ぎまわったことが発端となり、美佐は、故郷にいる親族から竜一が生きているかもしれないと聞かされ、言葉を失う。にわかには信じられない話だったが、東京で“和田猛”と出会ってからのことを思い返した美佐は"和田=竜一"かもしれないと疑い始める。

8(最終回)
霧島源平の殺人教唆の証拠を手に入れられず、打つ手がなくなった竜一は、さらに沖から“矢端竜一”が生きている証拠を突きつけられ、窮地に陥る。そのうえ、沖が美佐にまで近づいたことを知り、竜一はますます焦りを募らせる。一方、エニイウェイズとの契約内定を取り付け、ついに悲願である運送業界トップの座が視野に入ってきた源平は、一層言動に狂気を帯びていく。これ以上竜一に危険なことをさせたくない竜二は、「俺に計画がある」と次の手を持ちかけようとするが、竜一は話を聞くより先に、沖を殺す覚悟を胸に美佐の元へ。翌日、異変を感じて竜二が駆けつけると、竜一は「沖は殺した」「復讐の足手まといのお前はいらねぇ」と、竜二に銃口を向けるも気絶だけさせる。竜一はこれ以上竜二を巻き込まない為にあえてキツいことをしたのだった。
竜一は部屋に霧島を呼び、自分は竜一だと打ち明け復讐についても話す。しかし霧島は沖から貰った、3人兄弟のことを顔写真付で書かれてある世に出る前の記事を持っていた。そこには竜一がした殺人の事も書かれていた。復讐を遂げるとこの記事が世に出ると霧島に脅され手出しが出来ない竜一。
一方竜二は竜一に振り払われてもなお復讐を進めていた。既に出ているanywaysとの契約の話を大臣も通して吸収合併へと変える進めをしていた。キリシマ急便役員の同意書も取れ、準備は整った。

後日、キリシマ急便へ訪れた竜一と竜二。anywaysとの吸収合併の話を打ち明ける。しかし霧島はそんな事したらあの記事を出すと脅してくる。そこで兄弟の切り札は、竜一が自分の正体を打ち明ける為に呼んだあの日の隠し撮っていた動画だった。そこには法の抜け目を通って政策を推し進めてきたことを源平が悪気もなく話している様子が残されていた。これはUDコーポレーションの2人が世界中に拡散してくれており、もう源平の打つ手はなかった。
これにより吸収合併の話も源平を社長の座から下ろす話も進み、源平は全てを失うことに。
妻の祭壇の前で竜一に渡された銃で自殺を試みるも弾は入っておらず、意を決した自殺さえも出来ないのであった。
目的を果たした竜一。会社UDコーポレーションは砂川と凛子で継いで欲しいと。UDの意味はポルトガル語で"2人で1つ"。そう言って去っていく竜一だったが、この会社の立ち上げに竜一と一緒に携わった凛子はただの道具として使われていてそれでも報酬があるならと割り切って仕事していただけに、その言葉が嬉しく目を潤ませるのであった。

「最後に3人で食事をしよう」と美佐の提案。仕事を終えて帰る竜一にぶつかってくる少年。それは以前10億持ち逃げしたときに殺した男の息子であった。見ると腹には刃物が。親の復讐
の気持ちがわかる竜一はそのまま少年に逃げろ!と言い段々と息絶えるのであった。
にゃん

にゃん