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ザ・イングリッシュ・ゲームのtaruponのレビュー・感想・評価

ザ・イングリッシュ・ゲーム(2020年製作のドラマ)
4.0
ジュリアン・フェローズの脚本という点に惹かれて鑑賞。
舞台は1870年代、イギリス。貴族のスポーツとして貴族、富裕層のものだったサッカー、それが産業の発達で各地域で労働者のチームが力をつけ、それが地域に人々の支えとなっていく中、いかに近代のサッカーの枠組みになっていったかその経緯を富裕層側のアーサー・キネアード、労働者側のファーガス・スーターの双方の視点から描く。
面白かった。私自身は、サッカー自体にはそれほど思い入れもないし知識もないけれど、19世紀後半の貴族、労働者双方の生活、価値観が描かれ、それがサッカーという共通項に対して、どのようにぶつかり、接点を見出していくのか、その過程が面白い。そしてその2つをつなぐ存在としてウォルシュやカートライトといった中産階級も併せて描かれている。
具体的には、サッカーで報酬を得ることの是非、お金をもらって移籍することへの反発、サッカーのルールは貴族によって洗練されたことに対する自負・・・・。
また、男性サイドがサッカーを軸に各階級がぶつかり合うのと並行して、女性は子どもを軸に各階級が接点を持ち、こちらは比較的共感をベースに描かれていく。流産、未婚で子どもを抱える女性の苦境など・・・。
また、ファーガスがもともとはスコットランド出身ということもあり、イングランドとスコットランドの格差などもさりげなく背景になっている。

全6話のミニシリーズだけれど、いろいろな登場人物が絡み合い、時代がしっかりと描かれた良質な作品だと思う
サッカーファンは、きっともっと思い入れを持っていろいろ楽しめる部分があるのかもしれない
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