えみ

太陽の子 GIFT OF FIREのえみのレビュー・感想・評価

太陽の子 GIFT OF FIRE(2020年製作のドラマ)
3.7
日本でも行われていた原爆研究。科学者たちは、自分たちが作ろうとしているものの恐ろしさを知らず、アメリカより先に完成させれば、日本のためになる、戦争を終わらせられる、世界を変えられると信じ、開発に勤しんでいた。そんな科学者の青年とその家族、幼馴染の姿を描いた作品。
アインシュタインも自らの発明が悲惨な結末をもたらしてしまったことについて、酷く罪悪感を感じてたと言うような話も聞いたことがあるような気がするけど真相はどうなんだろう。このドラマの主人公修のように、ただ新しい世界をみたい、科学で今までにないものを作り出したい、という科学者の好奇心に従って、開発を進めていく先になにが起こりうるのか、そのブレーキをかけるのは為政者の務めなんだろう。それをただお国のためと、促進し続けたのが戦時中。科学者目線で戦争を考えさせられる作品は、あまりなかったかもしれないと思い、難しく淡々とした作品だったが、価値があると思った。
早く戦争なんて終わればいい、勝っても負けてもどうでもいい。有村架純のセリフ。ほんとにそうだ、人々にとって、どうでもいい大義のために、沢山の人の命、財産、心が奪われていく世界なんておかしい、そういう感覚を平和な世に生きる私たちが忘れることのないように、語り続かれなければならない。特攻なんて美談にしちゃいけない。国のための思い込まされて、命を無駄にさせられてしまった人々は、ただかわいそうで仕方ない、たたえることでその死を意味づけることなんてできない。
三浦春馬の姿を、役柄に重ねずには見られなかった。辛かった。なぜこの役をやって、自然に生きていられるこの時代に、死を選んでしまったんだろう。「ただいま」と帰ってくるのが、三浦春馬自身であればいいのにと、この作品を見るたびに思ってしまうだろうな。
えみ

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