Hana

アンオーソドックスのHanaのネタバレレビュー・内容・結末

アンオーソドックス(2020年製作のドラマ)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

話がとても良い。映像もすごく綺麗だし、見ていて引き込まれる。ファッションも素敵。何より俳優さんたちの演技が圧巻。

知らないユダヤ文化に存分に浸れたのも良かった。イディッシュ語をここまでずっと聞き続けたのは初めて。知人に聞いてた通り、ドイツ語っぽいけど、英語とかロシア語の借用語も多いみたい。借用の仕方は東欧の人の訛りがあって、NYの住人の割に英語がたどたどしく聞こえる。礼拝や歌や布生地、踊りとか、机とかからは、どことなしに中東の香りが漂っている。いろいろ交じっているんだ、と素直に感じる文化だった。ブルックリン行きたい!
恥ずかしながらシオニズムに対抗するユダヤ人がいることも知らなかった。世俗ユダヤ教からの超正統派への視線も...。


普遍的な「慣習による生きづらさ」を代弁している作品でもある。
この作品で描かれてたエスティの生きづらさは日本にもある。「子供が生まれない」という理由から、同じよう方法で地方から東京に逃げてきた女性を知っている。自由を取り上げられた女性は数多。決してどこか遠いところだけではなくて、近くにもある話。石女っていう、悲しい言葉を思い出した。こっちには戒律はないのにね。


同情という、部外者からの哀れみではない。状況は違えど、エスティにはほんの少しだけ息苦しさの共感が生まれてしまう。同時に、古き良き価値観から抜け出すための自由は、自分で切り開かなくては得られない、という厳しさも感じさせられた。自分の人生を肯定してくれるところに踏み出す一歩は大きなもの...憂いるのみではダメなのだ。
たぶん、私にとって、この辛味が物語を面白くしているものだと思う。


またすぐ見たい。
Hana

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