このレビューはネタバレを含みます
「人生ってきっと、地位や名誉やお金じゃない。人生はどれだけ心が震えたかで決まると思います」(第一話冒頭のたま子のモノローグ)
だとしたら、私の人生を豊かにしてくれたのは、間違いなくこのドラマだ。
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たま子(真木よう子)の言葉は、私たちを固定観念から解き放ってくれる。ゼネPこと喪服ちゃん(二階堂ふみ)、パーカーちゃん(松岡茉優)、耳(高畑充希)の三人組も愛おしい。
このドラマを見終わった時、心の中に小さな応援団がいるような感覚になった。
あなたはあなたのままでいい。そこに立ち向かうも、立ち向かわないも、あなたの選択だから。でも仲間と心と美味しいポトフは忘れないで。そんな温かなメッセージを私は受け取った。
見た人のこれまでの人生で捉え方が違うだろうし、同じ人が人生の中の別のタイミングで見返したら、きっと好きなエピソードも変わる。そんな作品だ。
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#1 セクハラ・パワハラー五月/個性と問題を抱えたメンバーが屋上に集う
高校時代の友人でもある同僚・藤村五月(菊池亜希子)のレシピノートに書かれた、セクハラに対する心の叫び。ドラマというフィクションだからこそ、被害者に二次加害のリスクなく、人々の心を動かせる。
「ここは反撃のできない戦場のようだ。やり過ごせ。やり過ごせ。」
「人は生まれると二分の一の確率で差別を受ける。」
「女が幸せになれば男の人だって幸せになれるのに」(さつきに代わって社長に復讐しようとしたたま子)
「不安って、人生を彩るちょっとしたスパイスだと思うんです。」(たま子)
「母親っていう仕事は世界一優秀なアマチュアだよ。」(たま子➛鏡子)
「きつかったらまた一緒に泣けばいいし。」(たま子→ハイジ)
#2 専業主婦ー鏡子/bistro fou開業に向けてお店づくり
「私自身が不良品なんです」と主婦である自分を卑下する鏡子(臼田あさ美)。「誰がどんな時間がどんな生活がどんな言葉があなたをそう思わせたの?」というたま子の言葉は同じ呪縛に囚われている人の心を揺さぶる。
彼女は三つの仕事をしてました。ホームヘルパーとベビーシッターと老人介護。
「でも、いい話って、時々人を殺すんだよ?それ、誰かに押し付けた途端、美談じゃなくなるんだよ?夫を支えるために一生を捧げた妻の話なんて、私には呪いの言葉でしかなかった!」(鏡子)
お店のコンセプトは?
→「迷ったときは面倒くさい方を選びます」
#3 パーカーちゃんと両親の確執
「人間めんどくさい。毎日めんどくさい。地球めんどくさい。」
#10
「表参道で降りてよかったです。私、この仕事に誇りを持ってます。」(新田さん)
「わたしは君に何もしてあげられません。その代わりに、わたしが教わったことがあるので、それを教えます。3つあります。人に優しくすると、自分に優しくなれます。人のことがわかると、自分のことがわかります。人の笑顔が好きになると、自分も笑顔になります。自分は自分で作るの。大人になったら、また会おうね。」(雨木千佳[パーカーちゃん]➛周太郎)
「奇跡は起こりましたよ。今日まで営業して来たじゃないですか。奇跡は、起こりすぎてて、気づかなかったんです。奇跡は、その日一日一日。その、一秒一秒です。わたしは、みんなの顔を毎日見ながら、思ってました。今日をちゃんと生きれば、明日は来る。」(たま子)
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【脚本】坂元裕二
【演出】並木道子、加藤裕将
【音楽】出羽良彰、羽深由理
【プロデュース】清水一幸
①地上波 2015
②FOD 2022