「お母さん、好きなことができなかったなんて思わない。お母さん、シングルマザーだなんて思わない。うちは3人家族だよ。胸張って言えるよ。うちは三人家族です。お父さんが作ってくれた幸せの中ですくすく、、すくすくって生きてます」
もともとこのドラマの存在は知らなかったのですが日本映画専門チャンネルの番組表でたまたま見つけて、満島ひかりと二階堂ふみが出ているということで観てみました。
いやーほんと観てよかった。まさかこんなにいい作品に巡り会えるとは
二人の幼い子どもを持ち夫を事故で亡くした女性の話。自分の家族との過去や夫の事故の真相、生きるための葛藤の中で母親の愛が描かれる
他のドラマとは雰囲気が違う、撮影方法のこととかよく分かりませんが色褪せたような映像で現代が舞台のはずなのに昭和の時代を見ている感覚
出てくる人みんな演技の質が高い。日本の映画ドラマ含めてここまで総合的に全員の演技が自然で上手なのは初めてです。
満島ひかりを人にすすめられて「愛のむきだし」だけ観たことがありまして、そこでの演技も凄かったんですが今作も圧巻でした
特に7話の夫の過去を知ったシーンと9話の台所での母親との会話シーン。こんなに感情がこもっていてリアルな演技は彼女にしかできないんじゃないだろうか？
笑顔のシーンは心から笑っていたし怒っているシーンは心の底から怒りが爆発していた
このドラマは色々と心に響くセリフがありましたがどれもいい意味でセリフっぽくない。他の作品の雰囲気や他の役者だったら絶対違和感覚えるだろうなっていう言葉がスッと胸に入って来ました。
1話1話家族のこと、人生、命について深く考えさせらる内容が詰まっていた。
「母親だから。お母さんだから。子供大事だから。負担とか思ったことありません」
「子供を育てるのってホントは難しいことじゃなくて、じゃないんだけど難しいのはそれを1人ですることで、お風呂もご飯も電車もみんな、2人だったら簡単にできることが1人だと急に難しくなる」
「『お金がない』って人に言うと『母の愛があれば大丈夫』って言われます。そうか、、そうかな？『お金で買えない幸せある』っていうけどそういうこという人はお金持ってて、、
私はとにかくまずお金で買える幸せが欲しい。お金じゃ幸せ買えないかもしれないけどお金あったら不幸になることないしって」
このドラマで描かれていた部分だけでも苦しくなるようなことばっかりの人生だけど本当に愛に溢れたキャラクターだった。こんなに純粋に家族を愛し、家族のために文字通り命を削り、幸せでいられる人って現実でもフィクションでもそういない。でもこういう人になりたいと思うしドラマ自体希望を持てる描かれ方をしていて重いけど暖かい、続きがすぐ見たくなる内容でした。
田中裕子、小林薫、小栗旬、臼田あさ美もそれぞれ丁寧な演技で役にぴったりだと思いました。子役も二人ともすごい、やっぱり母親と二人の家族の話だから出演時間も長いし相当難しい役だろうけど見事だった。撮影現場での出演者の仲もよかったんだろうなあと感じさせる
二階堂ふみも結構重要な役で出てました。まさか満島ひかりと二階堂ふみ、日本の俳優の中でも一番、二番に好きな人が共演していたとは。この当時18才ですからちょうど役と同じ年齢ですがこのときから上手でやっぱり心に闇を抱えた役が似合うなあと思ったり、
主となるストーリーとは別に砂川と藍子夫婦の話も展開しているのですがこちらは主に結婚している男女の価値観のすれ違いや偏見が描かれていました。個人的には砂川が自分勝手に思えました。共働きなのに自分は家事は一切せず「母親のくせに」とか「それでも母親か？」という言葉を放つ
それに対する藍子の言葉が印象的
「分かったの。子供の犠牲になるのが母親なんじゃない。男の犠牲にされる人を『母親』ってよぶんだってこと」
「俺のご飯作るの一回許してやったよっていう優しさ」
親のケンカの道具にされる子どもは見ていてつらい。「託児所がいい！」って言ったの笑ってしまった。
あと高橋一生演じる澤村医師はすごくいい人だったなあ。ほんとにかっこよかった。
小春にも藍子にも干渉しすぎず、それでもいっつも温かくて、小春と一人の人間として話すシーンが印象的、高橋一生はじめてかっこいいと思った
「あなたがお子さんを思うその気持ちがあれば病気は治ります。僕は全力で治療にあたります。覚悟なさってください。死ぬ覚悟じゃありませんよ。生きる覚悟です。よろしいですか？青柳さん、、お母さん。」
出演者全員の演技、脚本とそれに込められたメッセージ、映像に音楽とすべてが丁寧で温かい作品でした。8年前の作品かあ、、その当時の自分が観たら今とは全然違った感想と感動を覚えただろうし今から8年後の自分が観たらどう思うのか気になります。
今と同じように満島ひかりさんの演技に涙を流せる人でいたいなあと思ったり
