こたつむり

アンナチュラルのこたつむりのレビュー・感想・評価

アンナチュラル(2018年製作のドラマ)
4.5
★ 1の理由⇒何故? 2の理由⇒何故?
  問いは虚空を彷徨い 拡散する
  逃げないで お願いだから 消えないで

不自然死を究明する法医学者のドラマ。
…なんて耳にして鑑賞しましたが、いやはや、ここまで完成度が高いとは…全方位に隙がありません。地上波で放映したドラマとしては最高峰だと思います。

扱っている題材はシリアル。
だけど、適度なコメディ感が物語を重くさせず(市川実日子さんの役柄が良いんですよね。この人が脇に居るだけで格別の安心感があるのは何故なのでしょう)。

それでいて、主人公の眼差しは真っ直ぐ。
時折、鳥肌が立つくらいに格好良くて痺れるのです(石原さとみさんって素敵な女優さんですね。色物的な役柄しか知らなかった自分に反省)。

また、脚本も素晴らしく。
遺された人の想いを紐解くような展開なので、気付けば頬が濡れちゃうのです(第4話と第8話が個人的に神回)。

それと、音楽の使い方も神懸り。
最初はベタな主題歌だなあ…なんて思っていたんですけど、感情的な部分と歌詞をシンクロさせてくるんですね。こんなん卑怯やわあ(夢ならば良かったのに…なんて、嗚呼、泣ける)。

ただ、法医学ドラマですからね。
専門用語は多めになります。しかし、それをカバーするのが字幕テロップ。語感と文字が同じタイミングで頭に入ってくるので、スッと理解できるのです。こういう地味な演出が配慮の賜物。

まあ、そんなわけで。
限りなく満点に近いテレビドラマ(映画の感想の反省を踏まえて、テレビドラマは0.5点刻みにしていますが)。配慮が必要な現状を踏まえれば満点と言っても過言ではありません。

何しろ、足りないのは香味漂う色気。
これは優等生的な演出で感じさせるのは難しいのです。極端な話、倫理委員会に怒られるくらいの覚悟で“ライン”を超えれば…もしくは物語的な破綻を恐れずに突き抜ければ…。

勿論、それは過大なる要求。
現時点で見事なまでの完成度ですから…何も考えずに、最終回の余韻に浸れば良いのでしょう。あー。続編が観たいなあ。出来れば、劇場版ではなく連続ドラマが良いなあ。あと、しあわせの蜂蜜ケーキが食べたい。
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