あー、しんど。
子どもが酷い目に遭うのは見てて辛くなります。
スリリングで面白かったけど、なかなかにキツイ話でした…。
高校生が犯罪に手を染め、それがどんどん悪い方に転がっていき、とんでもなく高い代償を払うという話です。
主人公のジスは成績優秀でマジメな優等生ですが、地味で友達もいなくて存在感も薄く、クラスメートですら名前を覚えてもらえない男の子です。
しかし、ジスには裏の顔があり、高い知能を活かしてシステムを開発し、売春の斡旋業で大金を稼いでいました。
気弱でオドオドして覇気のないジスは、一方で大胆な犯罪に手を染め、それを悪びれる様子もありません。
しかし、これがどうしようもなく取り返しのつかない悲劇へと転がって行くことになります。
自業自得と言えばそうだし、ジスのやってる事は相当悪い事なので、バチが当たるのは仕方ないのですが、お金を稼ぐのだって、ろくでもないクソ親父に放置され、生活費から学費から塾代までも全て自分で何とかしなければならなかったという背景もわかってるから同情するし、ジスがほんとにどこにでもいそうな普通の高校生って感じなので、バレませんように、捕まりませんように…とハラハラしながら見守るような気持ちになってしまうからちょっと複雑です。
特に憧れのクラスメートの女の子ギュリにジスの秘密がバレ、ギュリが共犯者になっていくあたりからエスカレートしていき、歯止めが効かないのがすごく怖かったです。
ギュリの家は裕福で何不自由ない生活ですが、親から愛されている実感が持てずに、孤独で傷ついてて、親に捨てられて独りぼっちのジスにすごくシンパシーを感じただろうし、自分を大事にできないから危険な事でも躊躇いなく飛び込んでいって、見ていて痛々しいくらいでした。
ジスとギュリは共犯者でもあったけど、孤独を分かち合える唯一の存在で、だから、こんな犯罪でつながるのでなく、別の出会いがあったら違ってただろうにと思うと切ないです。
ジスがお父さんの事や生活の事を誰か大人に相談でき、支援の手が差し伸べられていたなら…と思わずにはいられません。
たった17歳の子がひとりで全てを抱え込んでしまった、またそれを誰も気付いてあげられなかったのが悲劇の始まりだったと思います。
いつもエピソードの終わりには、「ひとりで抱えずに相談しましょう」って相談窓口の紹介が書き添えられています。
こんなどうしようもない酷いことになりかねませんよ、というところでしょうか。
ジスを演じたキムドンヒは「梨泰院クラス」の時とはまた雰囲気が違い、イケメンオーラを消して地味で目立たない、けど大それた事をしでかす高校生を好演。
オロオロ、ビクビクしてばかりなのに、ギュリのために懸命に行動したり、でもものすごく自分本位で冷淡な面があったりと、いろんな顔を演じていました。
「ヴィンツェンツォ」でめちゃくちゃ悪党の弁護士のチェミョンヒが強烈だったキムヨジンは、本作では数少ないまともな大人として登場。
ちゃんとした人の役も見れて良かったです。
担任で顧問の先生役だったパクヒョックォンも良い味だしてました。
一番印象に残ってるのは「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」のクソ上司でしたが、この人の作品を7作くらい見てて、いろんな映画でよく見かけますが、どんな役だったかが皆目思い出せない…笑
でも、これでバッチリ覚えました！
ジスのお父さんを演じたパクホサンは、「楽園の夜」でも相当でしたが、どうしようもないクズの役がぴったりハマってて、ほんまに腹立ちました。
でもお父さんもギャンブル依存だったわけで、本来ならちゃんと医療的なケアや様々な支援を必要としてたはずです。
それがないままに放置してたら、ここまで破滅しますよという教訓にはなったんじゃないかと思います。
ほんとに救いのない話なんですが、見応えはあり面白かったです。
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