ジェイコブ

バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~のジェイコブのレビュー・感想・評価

5.0
ここはバイプレウッド撮影所。目立たないが味のある雰囲気を醸し出していることから、名脇役の森として、民放各局のスタジオがある。バイプレウッドでは今日も各局のドラマが作られて、局の垣根を超え、和気あいあいとしたムードで撮影は進んでいた。そんな矢先、民放最弱のテレビ東京のドラマ「チーム7」の第一話が各局を抑え、高視聴率を叩き出しまう。その知らせは瞬く間に各局のスタジオを駆け巡り……。
テレビ東京で放送していたドラマ「バイプレイヤーズ」シリーズの第三弾。遠藤憲一、松重豊、光石研、田口トモロヲなど、これまでシリーズに登場してきた名脇役達に加え、多種多様な俳優達が登場する。各局の特徴をイジったかのようなパロディードラマ、テレ東ドラマが第一回高視聴率取れたのは緊急事態宣言の首相会見で各局が特番の中、テレ東だけがドラマを強行したからと、自虐混じりの虚実皮膜な演出が面白い笑。SNSでバズる事を意識するあまり方向性を見失っていく俳優、コンプライアンスに気を使うが為に、ドラマそのものが成り立たなくなる様子など、近年のTVドラマ業界に起こっている問題点を浮き彫りにしている。
最終話のジャスミン演じる北香那の熱い思いと涙を観ただけでも、このドラマの素晴らしさ、存在意義を感じ取る事ができる。大杉漣亡き後に、マネージャー役の北香那がその魂を引き継ぎ、見事胸が熱くなる大団円を魅せてくれた。
バイプレイヤーズの影の主役はジャスミンである。彼女の回想シーンで最も初めに且つ、多く登場するのが大杉漣であり、彼の役者への愛なくして本ドラマは成立しなかった事を物語っており、エンドロールに「大杉漣」と記載されていた事などから、スタッフの愛を感じ思わず涙が出た。近日公開の映画へのバトンは、これ以上ないほど完璧なものだろう。