このレビューはネタバレを含みます
ただ一人の従順ならざる日本人。マッカーサーにそう言わしめた男。
100年前にイギリスでベントレーを走らせ、英語は堪能、国際情報に精通しており、初めてジーンズを履いた日本人。白洲次郎。
豪傑な父親の家庭に育ち、父に逆らいながらも金は湯水の如く使えていたが、父の事業は倒産。ここで本当の意味での独り立ちとなったのだろう。
アメリカ帰りの白洲正子とは電撃的とも言う出会いをし、その事がきっかけで政界にも顔が広まる。戦争をなんとか食い止めようと努力するも軍が政治を支配していて時すでに遅し。白洲は早々と疎開の概念がなかった時から疎開をし自給自足生活をはじめる。それはその後の日本がどうなるかを完璧にわかっていたからだろう。
やがて戦後復興に尽力するわけだが、今度はGHQという神にも近い権限を持った人物と対峙する。。。
日本国憲法がGHQの草案に決まってしまい、大変悔しい思いもすることになる。
しかし、その後は日本復興のため貿易を重要視するが、製鉄所をイギリスに売り渡した事によりバッシングされてしまう。そのことでロシアの謎の祈祷師ラスプーチンと重ねて批判される。。。
しかし次郎自身は特別欲があるわけでもない。仕事が終わればすぐに畑仕事に戻る人間なのだ。
やがて日本国独立の日、日米講和条約となるのだが英文で描かれた文章に、久々の激怒。
直ちに日本語に戻し巻物を作らせるところに日本人としての誇りを感じる。
そして独立の瞬間に次郎は大泣きするのであった。ラスプーチンの涙である。
幕末の英雄が坂本龍馬なら、戦後復興の英雄は白洲次郎だろう。