kuu

サイコだけど大丈夫のkuuのレビュー・感想・評価

サイコだけど大丈夫(2020年製作のドラマ)
4.2
『サイコだけど大丈夫』
原題 사이코지만 괜찮아
英題 It's Okay to Not Be Okay.
は、2020年6月20日から8月9日までtvNで放送された韓国の
全16話(恐らく完結)テレビドラマ。
日本じゃ、Netflixで2020年に配信。

お話は、自閉症スペクトラムの兄ちゃんムン・サンテ(オ・ジョンセが笑いで花添え時には泣かせ演じる)を献身的に支えながら、重く辛い人生の中で愛を拒否して生きる精神科で働く保護士の弟ムン・ガンテ(キム・スヒョン硬派で純粋瞳キラキラで演じる)と、愛を知らない人気童話作家のサイコ女子コ・ムニョン(ソ・イェジがダーク屁理屈キュートで演じる洋服が毎回可愛い)時には人形マンテ😊が紡ぐヒーリングストーリー。

ご多分に漏れず韓流ドラマ『梨泰院クラス』と『愛の不時着』、そして『キングダム』にハマり、今回、今作品にド・ハマりしてもた。
作中の童話の絵本の物語も挿し絵も可愛くて売ってるなら欲しいくらいっす。
(って売っとるんかぃAmazonでドラマに登場した絵本を邦訳で5冊同時発刊とのこと抜け目ないなぁ)
そのハマった理由ってのは、ノン・ジャンルってか、ジャンルが多岐に渡ってる奥行きがあるとこかな。
主演2人の硬派なロマンスを主軸に、コジックホラー的特徴のガキが見たらトラウマになるような童話のファンタジーに、ムニョンの母ちゃんとの因縁めいたサスペンス。
加えて、ガンテ、ムニョン、サンテがPTSD(トラウマ)から時に逃げたり怯えたり、はたまた、対峙しながら、少しずつ向き合い、ユッタリとしたり、急激になったり変化していく過程は兄弟愛や家族愛(他人との家族を形成して作られる愛)を感じたし、そないな主要3人のキャラを放っておけへん周りのキャラ陣(小生もその一人😊)は、時に親友目線、また時には、親目線の温かさが溢れてた。
また、女子の恋敵目線(小生はコ・ムニョン推し)だったり、野郎がみても感情移入できた。
(あくまでも個人的に)
たくさんの要素があり、飽きないドラマやったし、この構成が魅力かな。
小生が一番惹かれたのは、主要キャラ一人ひとりが心の傷をもっており、それぞれが癒されて行くさまが、巧みに描かれてるとこかな。
人は誰しも心の傷を持ってる。
大切なものを失ったときの喪失やトラウマ。
誰ともつながっていないと感じるときの孤独感。
自分てのを受け入れてもらえなかったとき、例えば、失恋、いじめとかの拒絶体験。
自分が許せなくなったとき罪悪感
悩みが頭から離れないときのとらわれや抑うつ的反芻。
何もうまくいかないときの失敗や挫折。
自分が嫌いになったときの自信のなさや自己肯定感の低下。
これら心の傷てのは、ガキのころから思春期を経て、大人になった今でも、たびたび遭遇する感情といえる。
そないな心の傷を巧いこと描いてた。
また、心の傷で重要なんは、目に見える症状だけで終わらず、自分では気付かない側面を持っていたり、“合併症”を引き起こす場合もある、ということとかも良く描けてるかな。
合併症てのは、例えば孤独な気持ちをほっとくと身体に深刻なダメージを及ぼして寿命が短くなってもたり、自滅的な行動をとりやすくなる。
自分をさらなる孤独に追い込む、ちゅう悪循環で、形は違えど本作品でも描かれてる。
最近の研究でも、孤独のリスクは喫煙のリスクに匹敵し心と体の関わりが続々と明らかになっている。
心の傷てのは苦しいもの。
なのに、どうして、人は対処できひんのか。
ドラマをみててホントそないなん考えさせられた。
たしかに、風邪とか引いたら、ガキでも、睡眠と栄養補給が大切やと知ってる。
コケて傷を作ったら、すぐに傷口をキレイにして手当てする。
こないなケアを、誰もが当たり前のように実践することができる。
せや、一方、心の手当てのほうはって云うと、もちのろん、身近な人を亡くす、解雇されるちまう、みたいなデカイダメージやったら、誰もがなんらかの心のケアが必要と感じる。
しかし、普段の生活で、デカイダメージから来る、小さな失敗や孤独感、そして罪悪感といった連鎖を、いわば擦り傷や切り傷を繰り返している。
ほんで、そないな心の傷を見ようとせずに放置することによって、あたかも傷が化膿するように、心の傷が徐々に精神状態をむしばむことがある。
将に本作品の主人公二人かな。

如何に人は心の傷をぞんざいに扱ってしまっているか、本作品をみて内省した。
その一方で、心の手当てなら、精神科や心療内科、カウンセラーの助けを借りればいい、という考えもあるが、ただ、それは常にベストとは云い切れないってとこも描いてるかな。
心の傷って、治るなへんのは、心の手当ての方法を学んでこなかったからかもしれへん。
身体の傷やと誰もが知っている。
こういうときはどうすればいいのか、親からも教わり、繰り返し実践してきたから、自然とケアができるようになっている。
今作品のキャラたちはその事が欠けてる。
心の傷も同じで、痛みを緩和し、悪化を防ぐ方法を学んでないからお話が拗れてくる。
自己流の、間違ったやり方で対処する主人公たち。
また、心の傷の症状についてもあまり意識をしていない、しょうとせず、蓋をする。
風邪を引いたら、気分が悪くなるなどの症状がある。
同じように、心が傷つくと、不安になり、自分を責め、そして、人を避けるようになる。
自分らしくなくなるといった症状反応から、今作品のキャラ達がどないして癒されて行くか、自分事のように見れたし、云いすぎかも知れへんが学べた。
小生も大きなトラウマを持ってる。
感情に気付いても、以前は何もしてこなかった。
心が気分が悪いなって、その状態を事実として受け入れるだけで、仕方がないなぁと思って対処してこなかった。まぁ今は独学で心理療法を学び、色んな人を訪ね歩き少しは、心の傷と共に歩む道は見えてきた。
そないな時やからこそ響いた作品でした。
kuu

kuu