吉田コウヘイ

ある家族の肖像/アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルーの吉田コウヘイのレビュー・感想・評価

4.5
前作『光をくれた人』はエデンの園のアダムとイヴを描いたデレク・シアンフランスは、今作『ある家族の肖像/I Know This Much Is True』でカインとアベルを描く。

年越しを跨いで生まれた一卵性双生児の兄弟を一人二役で演じ切る、プロデュースも務めたマーク・ラファロの演技が先ずは圧倒的だ。減量して弟のパートを、増量して兄のパートを分けて撮影。妄念すれすれの執念と、また演技者としての技術の途方もない高さが可能にした偉業。それを35mmフィルムの憂いを帯びた6時間の映像に刻んだデレク・シアンフランスもまた執念を感じさせる偉業を成し遂げた。

最終話のエンド・クレジットで明らかになるその執念の源泉。喪失から立ち直るためのセラピーとしての創作。古代から悲劇は、ドラマは、いやすべてのアートはそうやって生まれてきたのだろう。