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ある家族の肖像/アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルーのESRのレビュー・感想・評価

4.7
統合失調症の兄とその双子の弟ドミニクの二役のマーク・ラファロは、それぞれの役に合わせた体作りもさることながら、その演じ分け(もはやそういう次元ではない)が見事で、エミー賞受賞も納得。
(そういえばポール・ラッドも『僕と生きる人生』でクローンとの一人二役を演じていた)

それこそホラーでもここまでのことは起きないだろうというくらい不幸が降りかかり、ドミニクでなくとも自分の家系は呪われていると言いたくなる。ただその一つひとつを分解していくと「ああそういうことあるなあ」と思うものばかり。
個々の出来事によるダメージも相当なものだが、とにかく負荷がかかりすぎてキャパオーバーになり、現状を改善していく(好転させる)ために割けるリソースがないというのが何よりも辛い。
その中で、数少ない力になってくれる人の存在を足掛かりに、兄を支え、人生を模索していく。

祖父の自伝がこのドラマのキーになっているが、自分は現在と、一見関係のないように見える(若しくは時代の異なる)過去が繋がっていく話が好きなのかもしれない。ぱっと思いついたドイルの『緋色の研究』は完全に二部に分かれているので少し異なるかもしれないが。

1話の時点で先を観るのをためらってしまいそうになるほどしんどいが、全6話中の第4話のタイトルが「どん底」(原題は「Episode4」)。
覚悟は必要だが観る価値のある傑作。
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