Ayakashd

アメリカン・クライム・ストーリー/ヴェルサーチ暗殺のAyakashdのレビュー・感想・評価

3.8
こわすぎる…この…pretend to be someone special っていう行為の底無しの昏さ…こわすぎるよ…アメリカン・ドリームが生んだ精神病理こわすぎるよ…やっぱりアメリカってホラーな国だよ…きらびやかな表面の、水面下に、暗くて業の深い底抜けの闇が潜んでいる…
いや、ドラマとしての完成度など言わずもがなでしょう。。時系列の自由な語りは、観客を混乱させるよりもむしろ、観客の想像力と恐怖を鷲掴みにする。アンドリューの世界に引きずりこまれる。さらに各役者の真に迫る演技、各登場人物の来し方を、丁寧にかつダレずに表現する妙味。なにもかも完璧。
きっとどこかで似た孤独を、なんらか連帯の可能性のあったはずの寂しさを、持った同性愛者どうしであるにもかかわらず、その孤独を乗り越えて生きようとした被害者たちと、その孤独に取り込まれていったアンドリューの対比。アンドリューの不気味さと、底無し沼のような寂しさが、あまりに暗くて、ちょっと絶句する。後味悪いよなぁ。
あと、アンドリューの唯一の本当の友人と言えたリジーも、母も、父までも引っ張り出されて、報道がほとんどショウビズ化、ゴシップ化していく様子は、薄ら寒かった。これ、どういう気持ちで見たんだろうね、当時の人々は。
ゲイの人たちがどういう扱いを受けてきたかも、このドラマの重要な要素。わたしなんぞには下手なことは言えないけど、苛烈な偏見だよね。江戸時代くらいの日本はもっと寛容だったように思うんだけど、どうなんだろう。いつか調べよう。
それにしても、アメリカン・ドリームという概念に、本当に、食傷気味。幻想国家。。ファンタジーランド。。
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