玉生洋一

ホワイト・ドラゴンの玉生洋一のネタバレレビュー・内容・結末

ホワイト・ドラゴン(2019年製作のドラマ)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

英国人+香港人のドラマというのが新鮮だし
妻の死から明らかになる妻の秘密という導入もいいし
ちゃんと辻褄は合っていて楽しめた。

が、真相は少し物足りない後味。

サリーの正体が全体の2/3くらいのところで明かされるが
視聴者にそこで明かす必要性がまるでないタイミングで
唐突に正体が明かされる。
主人公ともっと普通以上に親密になったりして
絶対的な味方と思わせたところで正体を明かして
視聴者を驚かせるのがセオリーだと思うが
何の得もないタイミングでなぜ明かしたのだろう。

最終的に、メーガン殺しの黒幕が
ゾウの参謀の女性だったということが明かされるが
ゾウが黒幕っぽいことが#1から匂わされているわけだし
その参謀が黒幕だったと言われても、その立場から言って
「そうでしょうね」
としか思えず驚きがないのがもったいない。

ゾウの対立組織
(就任に反対する市民団体でも、対立候補の支援組織でもどちらでも)
の幹部を登場させ、
終盤まで「一緒にゾウを追いつめる味方」としてとことん描き
最終回の終盤で
「実は彼女が黒幕だった(ゾウの悪事を明るみに出して失脚させる意図でメーガンを殺した)」
と明かす等のほうが
うまくやれば驚ける仕掛けになったのではと思う。

実際のドラマの筋の範疇内でも、
最終回のラストで下記のどちらかが明かされる方が
より驚けるラストになったのでは。
「サリーが実はメーガンの死に関わっていた」
「ラウが実はゾウの娘だった」

ゾウの執務室に主人公とラウが到達し、
ふんぞり返るゾウの前で
過去の悪事を告発する。
ゾウは大いに慌てて、ラウに真実を話し
娘への愛をみっともなく泣きながら語る
……等のシーンがあれば
溜飲が下がったと思うのだが
それがなかったので
スカッとしなかったということかもしれない。

最終回で主人公の妹が
活躍するくだりは
香港と英国の二重性が感じられてよかった。