うっちー

秘密の森のうっちーのレビュー・感想・評価

秘密の森(2017年製作のドラマ)
4.1
 キャストに惹かれて見始めたが、最初は主人公があまりに無表情だし、ドラマ全体がシリアスで重苦しいところ、また、描かれる犯罪があまりに複雑で、入り組んでいるところがわかりにくく、何回か着いていけなさそうになる。が、中盤以降、チャンジュンの犯罪関与が色濃くなってくるあたりから、グイグイ引き込まれていく。とはいえ、なかなかわからない箇所もあり、何回か引き返して見返す。

 何人かが残忍に殺されるが、はっきりとその場面が出てくるのはかなり後半で、それまでは死体はあれど、ひたすら推理と捜査という感じで、派手な見せ場をあえてつくらない作り方もなかなか渋い。

 主人公シモクとなるチョ・スンウは、本当はあんなにチャーミングなのに、ほぼ無表情で、セリフも少ない。しかし、独特の魅力は健在。感情がないわけではなく、幼い頃に受けた脳の手術により、感情を出しにくいという設定。ちょっと発達障害の天才みたいな感じに近い。ツンデレとも違う不思議な魅力で、演じるの難しかっただろうなぁと。ハン刑事のぺ・ドゥナは相変わらず素敵。かなりの敏腕なのに、サバサバしていて、でもやさしくて、茶目っ気もある。彼女にぴったりな役柄だ。
 怪演なのが、やはりチャンジュン=検事長の、ユ・ジェミョン。『梨泰院クラス』での老け役も凄かったけど、このドラマでもかなりアクの強い悪役。だが、真っ黒な悪ではなく、どうしてそうなったかの後悔までみせるあたりは脚本の妙。彼が妻に遺した遺書の内容が、かなり深かった。

 財閥支配、弱肉強食の世界で正しさを貫きながら生き残ることの難しさや辛さ、また社会全体に向けての眼差しが深く、記憶に残りそうなドラマだった。

※シリアスな中に、ハン刑事やシモクの秘書スタッフたちのユーモアがかなり効いていたのも◎。
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