Siesta

逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!のSiestaのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

今の時代をジェンダーや働き方など絡めながらエンタメとして切り取るのは、本当に素晴らしいと思う ただ、野木亜季子脚本の私、分かってるでしょ感がちょっと鼻につくところが個人的には少しある 特にけもなれ、あたりから 今の時代の考え方のあり方を示すに留まらず、あらゆる時代の考え方を包括しつつ、あらゆる人の生き方を肯定するというのがあるべき価値観だと思うし、時代に即したアップデートの重要性を教えてくれる素晴らしい作品だと思う でも、その力強さが押し付けがましさと取る人もいるのかもしれない どうも逃げ恥を見ていると、時代に即したアップデートの重要性を含みつつ、色んな生き方があるよ、とは一応なっているものの、メインキャラクターにいわゆる社会的な“マジョリティ”がいないから、ちょっとどうかな、とも 今回は藤井隆夫婦の描写はなかったし、そっちもきちんと描いてそういう生き方も素晴らしいという事も描いていると、より多面的かなぁと 事実婚カップル、50代のバリキャリ、ゲイカップル、シングルマザーと、(現在の社会構造上)弱者の立場に置かれしまうようなマイノリティ“ばかり”にも感じてしまう もちろん、それは作り手の意図ではないのだろうし、こういう作品が少ないからだろうけれど さすがに詰め込み過ぎたか
男はステレオタイプというかみんな揃いも揃ってダメというか、デリカシーないというか、女性の味方なのは結構だけどさっていう感覚も少しあって、セクハラおじさん、産休嫌がる同僚とか、おばさんはもう使わないんだから取っちゃえば?とか、だから結婚しておけばと言うだろうとか、描写として男性の扱い、逆にどうなの? そんな人はまだまだ掃いて捨てるほどいるのが悲しくも現実なんだろうけど 女性の味方は女性とゲイの人しかいないのか?とも思うし、産休どうこうは出産経験した年上の女性が難色示すパターンも結構あるんじゃないの?とか 自分は〜だったのに、的な感じで たぶん、ドラえもんだって今の時代で考え直したら、男3人のリアリティに比べると静香ちゃんはキャラが聖人過ぎるし動機は不明だしという感じがある
あと、あらゆることが(形式上は)男女共にできるようになった時代において、妊娠出産に関してだけは未来永劫、男性は絶対にできない行為であって、“一緒に”っていうのは至極真っ当で正しいわけだけど、男性からすればどれだけ努力しても全てを“一緒に”こなしていくことは不可能なわけで だからこそ“サポート”という言葉を完全否定して断罪することも同時に難しいのではないかと思う
大黒柱は古い、なんで女ばかり、、、とか、ホルモンバランスが崩れてっていうのはリアルだなぁと思うけれど、男は男で、なんで男ばかり、、、と思っているだろうし
でも、感情で共感 女性の方が得意 男らしくあらねば、それもまた呪い という展開があって良かった でも、そんなところに気づいてもらおうなんて、まだまだこの時代においては男にとって贅沢というか、長い長い歴史の中で積み重ねてきた“男性”としての謝罪が先決であって、アファーマティブアクションの考え方に則っていく時代なんだと思う それに、こういう作品が世間で支持され、お正月に放送できるようになったことは間違いなく、絶対的に喜ばしいことなのだと思う 真の意味での平等としてのチューニングを考えるようなことはまだ先なのかもしれない
あと、ラストは正直、唐突感が否めない
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