形式的なハグではじまったみくりと平匡が、やがてそのハグが不安の共有や理解、または癒しや喜びという人間の体温を感じるスキンシップやコミュニケーションとなっていく過程を描きつつ、大切な人とさえ触れ合えなくなってしまった現代の物理的や心理的な断絶、それでもその距離は乗り越えることができるという希望を、コメディドラマの中に盛り込んだ驚異的な野木脚本が見事。
先進的な関係を試行錯誤しながら見つけたみくりと平匡に現代の生きづらさや不満をスポークスマンのように代弁してもらうことと引き換えにキャラクターの魅力が減じてしまう可能性があったものの、女性が感じる働きづらさやいきづらさは勿論のこと、時に男らしさにがんじがらめにされる男性側の生きづらさ、さらに男性女性と2色だけに色分けすることなく多種多様な生き方にも目配せするバランス感覚も現代的。