まぐらいだあ

逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!のまぐらいだあのレビュー・感想・評価

3.2
現代性と多様性を存分に味わえる野木節炸裂の今作。

TVシリーズのその後を描き、前半は多様性における社会のあり方。
後半はまさに今であるコロナの状況下にある家族のあり方を描いている。
もちろん、今だからこそのスペシャルであるし、サブタイトルのガンバレ人類という部分からそして星野源の「恋」という歌詞からもメッセージをもらえるそんなドラマであったことは間違いない。

しかしながら不満を述べると、
さすがに長い。
2時間半ほどある今作は、森山みくりと津崎平匡との夫婦生活という普遍的な物語である。
TVシリーズにおいては、両者のゆれ動く心情で新しい関係性というのを提示していたはずだ。それは新しさと同時にラブストーリーとしての方向性も定まっていた。
だが今作は、果たしてこの物語がどこへ向かうのかは提示されることなく、まさに日常の問題提起に巻き込まれる人間模様をうつしている。

つまり、
逃げ恥の続編は見たかったが、
逃げ恥で続編をこの姿で見たかったわけではない。
というのが正直なところ。

もちろん、中身が悪かったわけではないし、個人的な好みもあるのだが、
さすがに話の起伏は少ないし、これでは野木節がさすがに説教くさくなったり、ダラダラしているように感じる。
みくりと平匡の衝突も、単なる夫婦の喧嘩としか思えず、TVシリーズでの空気感というのがイマイチつかめなかった。
だから逃げ恥としてのパッケージを使った現代夫婦物語に落ち着いたという感想がしっくりきた。