ワイカ

新聞記者のワイカのネタバレレビュー・内容・結末

新聞記者(2021年製作のドラマ)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

 ドラマとしてのクオリティはとても高く、最後まで没入して一気に観れました。国家が犯した実際の事件を基にしているという意味でも、普通に観ればとても面白かったです。少なくとも、残念だった映画版よりはだいぶマシでした。

 が、しかし、文春で明らかにされてしまった、主役の米倉涼子のモデルとなった東京新聞・望月記者と製作陣が、赤木さんの奥様に了承を取らないままドラマ化して揉めたことを知ってしまうと、どうも素直に感動できない自分がいます。

 赤木さんの遺書をスクープしたのは文春(正確には元NHKの相澤冬樹記者)なのに、ここでは東京新聞がモデルの東都新聞ということになっているのも、事実を基にしたストーリーとしてはいかがなものかと。東京新聞は望月記者を広告塔にしてこのドラマの製作にもかなり協力したようですが、恥ずかしくはなかったのでしょうか。

 というか、そもそもこのドラマ、米倉涼子演じる新聞記者がほとんど活躍してない気が。内容はほとんど国家公務員の隠蔽体質と、それに苦悩する部下や家族ばかりを描いていて、記者はほぼ添え物。タイトルは「国家公務員」の方がふさわしい気がしました。

 とはいえ役者さんたちの演技はどれも素晴らしく(特に吉岡秀隆と綾野剛)、それだけでも見応えはあります。米倉涼子もいつもの偉そうな感じでなく少し自信なさげな演技(他のドキュメンタリーで見た望月さんてこういうキャラじゃない気はするけど)が新鮮でした。目頭が熱くなるシーンもいくつかあり、観て損はないと思います。
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