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俺の家の話のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

俺の家の話(2021年製作のドラマ)
5.0
プロレスリングでマットに叩きつけられ、ロープへ投げ飛ばされながらも、ブリザード寿こと観山寿一(長瀬智也)は、自分の家族について思いを馳せていた。
寿一は幼少時代、重要無形文化財「能楽」の保持者である父の観山寿三郎(西田敏行)から一度も怒られたことがなかった。
一緒に悪さをしても、怒られるのは弟子で芸養子となった寿限無(桐谷健太)のみ。
しかし寿三郎は、初舞台以降「神童」と讃えられた寿一を褒めることもなく、それが幼い彼の心を傷つけていた。
やがて反抗期を拗らせた寿一は、母の死後、家を出てプロレスラーの道へ進む。そこには、寿一が憧れていた家族の形があった。
さらに時は流れて現在。ピークを過ぎたレスラーとなった寿一の元に寿三郎危篤の知らせが飛び込んできた。
急いで病院に駆け込んだ寿一は、久しぶりに会った弟の踊介(永山絢斗)と妹の舞(江口のりこ)から、一昨年に寿三郎が脳梗塞で倒れたことを聞かされる。
別れの挨拶は2年前に済ませたと、遺産や相続の話を始める弟妹に激昂する寿一。
そして寿一は二十八世観山流宗家を継承すべく、プロレスラーを引退することを決めるのだった。
引退試合を終えた寿一を待っていたのは、寿三郎が退院したという知らせだった。
一門の幹部、そして家族を前に、これまでの威厳はどこへやら、デイケアサービスで寿三郎の担当ヘルパーだった志田さくら(戸田恵梨香)と結婚すると言い出した寿三郎。
呆気にとられる寿一ら家族を余所に、自身の余命とすべての遺産をさくらに相続すると告げ・・・! ?
『池袋ウエストゲートパーク』、『タイガー&ドラゴン』、『うぬぼれ刑事』など、今もなお人気の作品でタッグを組んできた長瀬智也×宮藤官九郎が、TBS連ドラで11年ぶりのタッグを果たす!
このドラマを最後にジャニーズ事務所を退所して裏方に回る長瀬智也、最後のドラマ。
貧乏になった観山家を立て直し、息子の養育費を稼ぐために、能役者とプロレスラーの二足の草鞋を履きながら、自分を認めてもらうために父の寿三郎の介護に担当ヘルパーのさくらや兄弟と協力して頑張っていく寿一の奮闘を、女癖の悪い寿三郎へ複雑な思いを抱く寿一たちと寿三郎の家族としての絆を結び直す家族の対立と和解、学習障害に苦しむ寿一の息子が寿三郎から能を習い発達障害を抱えながら生きる道を切り開く葛藤を絡めて描かれていて、「池袋ウェストゲートパーク」「タイガー&ドラゴン」など長瀬智也のキャリアやドラマのオマージュを込めた小ネタや阿部サダヲなどのゲスト俳優の数々、「介護にまさかは付き物です」「他人だと出来るのに家族だと下の世話が難しい」死がふとした瞬間に忍び寄る介護のリアル、能とプロレスという特性を生かした絶妙な演出と散りばめた伏線をきっちり回収して予想外の展開をしていく見事な語り口、長瀬智也や戸田恵梨香や西田敏行や江口のりこのテンポの良い掛け合い、長瀬智也のキャリアのだけでなく、宮藤官九郎の集大成と言える家族コメディドラマ。
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