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ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナーのpenのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

マイク・フラナガン監督の名前を知ったのはNetflixのオリジナルドラマシリーズ『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』。このドラマがとんでもなかった。映像的に凄い。過去と現在が乱れながら結末へ突き進むドラマ性が凄い。ホラーとして怖い。そして泣ける。なんてとんでもないものを生み出したのかと。監督は『シャイニング』の続編『ドクター・スリープ』も手掛け、今も新作準備中。元々優れた映画監督だからこそ、この順調なキャリアは約束されたものだったのかもしれない。

そんな監督の最新作ドラマシリーズ。原案はヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』。初報ニュースを見てから読んで臨んだけども、意外と登場人物構成や舞台設定は前作より忠実にしていて驚いた(ヒルハウスはジャクスンの小説)。とはいえ読んでいなくても大丈夫。ただ読んでいると「ここをこうしたのか…」と工夫の仕方に感心させられる。

何よりもドラマ性の高さに心底唸る。怖さという面では本作は前作と比較すると落ち着いているかもしれないが、登場人物1人1人の感情や心の傷を丁寧に描きこむ物語が、本当に素晴らしい。そしてその中に自然とゴースト・ストーリーが組み込まれている。
1話から4話までで各人と屋敷周辺の情報をじっくりと描いてからの、5話以降〜そして最終話に至るまで、紡がれる哀しくも愛しい物語が胸に沁みた。
端正で繊細な怪談を目にしたような、そんな気持ちにさせてくれるのである。

幽霊がいきなり姿を現したら、それはやっぱり恐ろしい。しかしなぜ幽霊が彷徨うのかを紐解いていくと、その存在にもドラマがあり、見えていたものとはまた別の風景が顕になる。
本作はその見えなくなった物語を明らかにし、その上で伝えたくても伝えきれない人の想いを丁寧に描いた、間違いなく今年の素晴らしいドラマシリーズの1つ。
ヒルハウスとはまた別の方向で(重なる部分もあるけど)気に入りました。
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