妻と別れ、長年勤めた建築事務所も辞めた青瀬は、失意のどん底だったが、一軒家の依頼が飛び込み、しかも、コンセプトは全て青瀬に任せるという。思いのままに建てた吉野邸は会心の作品となった。ところが、施主の吉野一家が忽然と姿を消した。屋敷にはブルーノ・タウトのデザインチェアが残されていた。吉野の行方を探し始める青瀬だったが…というお話。
横山秀夫×大森寿美男の64コンビの新作。今回も見事な脚本で、単なるミステリーではなく、見る者の胸を打つ人間ドラマになっている。主演の西島秀俊は言うに及ばず、脇を固める北村一輝、宮沢りえ、田中麗奈、それぞれ熱演。ただ、西島秀俊は、何を演じても西島秀俊になってきていて、見ていると、吉野邸の台所から内野聖陽が出てきそうだったり、伊藤淳史との絡みではシチューが出てきそうだったりして困った。
