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岸辺露伴は動かないのおーたむのレビュー・感想・評価

岸辺露伴は動かない(2020年製作のドラマ)
4.3
タイムラインに流れてきたのを見て、これもレビューできるのかと気づきました。
ジョジョの第4部は原作全部読んでて、「岸辺露伴は動かない」は富豪村だけ読了、アニメや山崎賢人主演の実写映画は見てなくて…という状態で見ました。
結論から言うと、期待しただけのものは十分見せてもらえたと思います。
満足しました。

原作はスタンドによるバトルが印象的ですが、タイトルに「奇妙な冒険」と冠されているように、ジョジョはその基調にホラーの要素も取り入れた作品です。
各エピソードの端緒にしても、エピソードの主役となる登場人物が、普通ではあり得ない現象に遭遇することで始まる…というパターンが多いですよね。
あの“ドドドドド”とか“ゴゴゴゴゴ”とかの特徴的な擬音が似合う雰囲気こそがジョジョの真骨頂だと、私は思うわけです。
その点、本ドラマは、そのホラーの側面を上手く抽出し、ジョジョ特有の怪しい緊張感を十分に表現していたと思います。
「なんかちょっと変」という違和感が、話が進んでいくにつれどんどん増幅していくあの感じ、よかったですね。

また、そうした違和感を解決せず放置したまま終わってしまう、というエピソードが、全3話のうち2話もあるあたりも、飄々としていておもしろいです。
「富豪村」「くしゃがら」では、露伴は怪異を打ち倒すことが出来ず、なんとかやり過ごす形で回避しているだけ。
つまり、怪異自体はこの世界のどこかに存在したままなわけです。
そうしたストーリーテリングの作用か、本作には、想像を巡らす余地とか、微妙な引っ掛かりみたいなものが備わっていた気がします。
本作は、普通のホラーに付き物の安っぽさがあまりなく、逆にある種の格調すら感じさせるところがあるんですが、作品が持つ複雑な余韻が一因かもなと思いました。

キャストも良かったですね。
高橋一生、飯豊まりえ、森山未來あたりはいわゆる変な役でしたが、作品から浮いているということもなく、それでいてしっかり迫力と存在感を見せてくれていました。
作品の持つ雰囲気から逆算されたような、地に足のついたキャスティングだったように思います。
そもそも私が本作を見る気になったのは、岸辺露伴に高橋一生がキャストされたことで、この作品は信用できそうだと思ったからですし。
山崎賢人に仗助やらせるようなキャスティングだったら見なかったかも(笑)
あ、山崎賢人が悪いって言ってるわけじゃないですよ。念のため。

ということで、トータルで見て、とてもおもしろい作品でした。
再現度が高いとも思いましたが、なにより、原作漫画を咀嚼して映像に変換するという過程のセンスが素晴らしかったと思います。
第二弾が制作されれば絶対見ますが、まあそれは反響次第ですかね。
反響…。どうなのかなあ…。
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