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岸辺露伴は動かないのにゃんのネタバレレビュー・内容・結末

岸辺露伴は動かない(2020年製作のドラマ)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

「heavens door」の掛け声で、その人の顔面が書籍化しその人の人生(体に刻まれた歴史含め)が文章となって読めるという露伴の特殊能力だが、heavens doorってのがちょっっとチープに聞こえてしまってクスッ。
でも奇想天外なストーリー回しで全3話面白かった。タイトルがお堅い感じがして観るのを後回しにしていたのが勿体ない。

お気に入りは第2話のくしゃがら。
ドラマの最後に「視聴者の皆様の安全を考慮して、実際の言葉をくしゃがらに置き換えて放送しました」みたいな貼り紙が映ったのが、またリアリティ味があって好き。
それにしても、くしゃがらの意味を気にしすぎたあまりheavens doorで開く本の中に袋とじが出来て、しかもその中に「くしゃがらくしゃがら」とひたすら繰り返す謎の物体がいる展開に画面に釘付けになった。この中の"何か"は、好奇心そのものに寄生して取り憑くのではという露伴の考察。もしかしたら僕の中にも既に袋とじはあるのでは、と。
言葉は繰り返すうちに言霊となり取り憑くんだ。
そんなストーリーのしめ方がうまかった。

第3話の「太郎くんのドナー提供者って…!」って気づいた時は思い切りワクワクした。

俳優も、高橋一生に中村倫也と私的に豪華で画でも楽しめたドラマです。
全3話は勿体ないなあ、もっと観たかった。



ストーリー↓
1
周囲から隔絶された山奥に豪邸が立ち並ぶ「富豪村」。所有者はいずれも各界で成功した大富豪ばかりで、20代でこの村の土地を所有して成功しているという。ただし、ある条件をクリアしないと買うことが許されないらしい。真偽を確かめるべく露伴(高橋一生)は、編集者の泉京香(飯豊まりえ)と共に富豪村に赴く。そこで課されたのは奇妙な試験だった。それは「マナー」。マナーに寛容はない。「正しい」か「正しくない」か。
この地は神々の住む場所であり、ひとつの失礼に対しひとつ代償を払うこととなる。
泉は「コーヒーカップの取手に指を入れて飲む」「携帯の着信に無断で出る」の2つのミスで大事な愛犬(病気)と恋人(事故)を失うことに。部屋から飛び出した泉はそれもマナー違反とされ廊下で息絶えるが、今度は案内人VS露伴。露伴はheavens doorを使い案内人の人生のページに「畳の縁を踏む」と書き加える。書き込まれたものはどんな力でも逆らえない。よって解かれた後も無意識に案内人は畳の縁を踏んでしまい神々の怒りに触れ、泉と露伴の代償は許されていくのだった。
無事集落から脱出した泉と露伴。
実は集落へ向かう前、露伴はheavens doorで泉のページに「紅茶でマナー違反をする」と書き込んでいたのだった。

2
露伴(高橋一生)は同僚の漫画家・志士十五(森山未來)から奇妙な相談を受ける。担当の編集者から「くしゃがら」という言葉は使用禁止だと言われたのだ。しかしネットにもどんな辞書にも意味は載っていない。使うなと言われると使いたい。だが意味を知らないと使えない。何かにとりつかれたようになった十五を露伴がヘブンズ・ドアーで「本」にすると、そこには黒い袋に入ったうごめく何かが存在していた。

3
担当編集の京香(飯豊まりえ)から付き合っている写真家の平井太郎(中村倫也)の記憶喪失を“催眠術”で探って欲しいと頼まれた露伴(高橋一生)。写真家だった太郎は6年前に交通事故にあい、一命は取り留めたが、社会復帰できずにいた。京香に太郎を紹介され話しているところに娘を抱えた片平真依(瀧内公美)が通りかかる。すれ違い様、娘の手が太郎の袖をつかみ転倒させてしまう。露伴はその瞬間、娘に異変を感じていた。
「わちにんこ」そう太郎に呼びかける少女は言葉を逆から言う赤と緑の瞳を持つ不思議な子。母親の片平は6年前の事故で夫を亡くしていた。
実は夫婦は結婚する際、ドナー提供の意思表示カードを出しており、夫の臓器は何人かの元へ提供されていた。露伴は太郎が事故に遭った際に移植で貰った臓器は片平の夫のものではないかと勘づく。魂は臓器に宿るとも言われる。もしかしたらその臓器に片平の夫の記憶までもがあるのかもしれない。少女は太郎に宿った父のDNAを感じ取り太郎の袖を掴んだのではないか。
露伴はheavens doorを行い片平親子と太郎の人生録を覗く。すると太郎の人生史は事故にあった6年前のあの日以降真っ黒なページが続いていた。生きていれば何かしらの事柄が刻まれるはず。黒いページが続いた後には以前のページとは違う黄色い色合いで新たに人生が刻まれていた。これは一度死んで人格が変わった事を表しているのか。
太郎のページを進めるとそこには飛び出す絵本の仕掛けが。手のようなオブジェがひとつ外側へ伸びている。続けて少女のページをめくるとそこにも同じ仕掛けがあり、今度は両手を広げているようだ。片平の妻のページをめくると同じオブジェがありまた片側の手を外へ伸ばしていた。3つを並べると、まるで子供を真ん中にして手を繋ぐ親子であった。

太郎は片平の夫の記憶を持っているわけではないが、好みや言動が夫と同じで、もしかしたら人格が移ったのかもしれない。片平の妻に渡す缶コーヒーも夫が好きだったもので、妻に続けて言った言葉も事故にあう前に夫が言った言葉であった。

泉は結果的に太郎と別れることになったが、抜け殻だった太郎の居場所がちゃんと見つかって良かったとスッキリした様子。太郎の撮る写真に惚れた泉だったが、人格が変わった太郎は撮る写真もほのぼのとしたものに変わっていた。
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