マカ坊

クイーンズ・ギャンビットのマカ坊のレビュー・感想・評価

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
4.5
60年代という奇天烈なディケイドを完璧に着こなすアニャ・テイラー=ジョイの比倫なき麗姿。
垢抜けないバドワイザーの空き缶までもが彼女の才能に奉仕する。

あくまでもチェスで転がる物語が良い。
停滞しそうになるとチェス。落ち込みそうになるとチェス。

語り口と編集のテンポの折り合いが良くスルスルと観続けられるうえに、いちいちキマる抜群のショット。

天才である自らの輝きに照らされることで陰影を深くしていく周囲の凡人達に一瞥をくれながらも、ダラダラと悩まない。ように見える。観せる。

だからこそ終盤のビル・キャンプとの「相まみえない交信」が一層涙を誘う。

テレビを見続ける養母との不健康な交流こそが健康的という極めてシネマティックなパラダイムシフト。

「venus」とかいう大物使いに作品としてのバランスを損なわず対抗できる役者がどれだけいるだろう。

とにかくアニャの全ショットがかっこいい。

フィンチャーの「マインドハンター」の件もあるし、人気がある限り作り続けられるこれまでのドラマシリーズよりも、今作のようにハナから全額BETなリミテッドシリーズの重要性がより増していくのだろうか?という気分も想起させる、全方面ハイクオリティな充実の一本。

アニャ・テイラー=ジョイ。また一つステージがあがった感。最高。
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