ShinMakita

クイーンズ・ギャンビットのShinMakitaのレビュー・感想・評価

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
4.0
64のマス目が、世界のすべて。



1950年代の終わり。数学者だった母に育てられた9歳の少女エリザベス・ハーモンは、母が起こした交通事故で生き残り天涯孤独の身となった。メスーエン女子孤児院に入れられた彼女は、地下の用務員室で初めてチェスに触れる。用務員シャイベルからルールを教わり、瞬く間に戦略を覚えていくエリザベス。やがて才能を開花させた彼女は、地元高校のチェスクラブで多面対局を披露して大人たちを仰天させる…



「クイーンズ・ギャンビット」

Netflixのリミテッドシリーズ、全7話。男だけのチェスの世界に突如現れた天才少女。その孤独な人生と戦いを描きます。女性の社会進出・職業選択も不自由だった時代、自らの力で道を切り拓きつつクスリと酒に依存していくエリザベスの姿は爽快でもありハラハラもしちゃいます。無敵のエリザベスが自分より才能のあるライバルの出現に心が乱れるのも緊張しましたね。対して、ベスの周囲の人間たちが変化していくのも見もの。かつての敵が味方になったり、自分を負かした嫌な奴が師匠になってくれたりね。特に義母のステージママぶりが痛々しい気分になってしまいます。衣装やセットの時代再現度も素晴らしいし、流れる60年代ナンバーもクールなので、チェスに興味がなくても楽しいですよ。後半にやってくるエモーショナル展開から気づかされることは、ひとは自分が孤独だと思っていても、見捨てない誰かが必ず存在するということ。50年以上前の世界を描きながら、現代的なテーマで魅了する素晴らしいドラマでした。


主演のアニャ・テイラー=ジョイは、「スプリット」でマカヴォイに拉致られる女子高生役で知った女優。「サラブレッド」も良かったです。黒髪とデカイ目がポイントだったけど、本作のような赤毛もいいね。
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