ゆりな

クイーンズ・ギャンビットのゆりなのレビュー・感想・評価

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
4.3
話題になる意味と「一気に見てしまった」と口を揃えて言うのがわかる。

「孤高な少女がチェスプレーヤーにのし上がる、緊迫したドラマ」って思ってたけど、これ立派な少年漫画だ。笑

養護施設で育ち、謎の薬を飲まされる未知なあたりは「約束のネバーランド」。
人間ドラマと勝負の世界は「3月のライオン」の要素。
そして「ヴィオレット・エヴァガーデン」のヴィオレットみたいに表情の変わらないベスが、ちょっとずつ成長していく。
こんなの面白くないはずがない。

2話目の時点で、まだ2話?もう5話くらい?というバリューがあり、無駄なシーンがない。
登場人物もサッと出てきた人物が重要だったり、「過去のライバルが主人公の一番の味方になる」辺りがジャンプの展開で胸が熱くなる。

「ハリー・ポッター」でハリーいじめてる従兄弟が、痩せていてすっかり青年に。
「ラブ・アクチュアリー」であんなに可愛かったサム少年も青年に。30歳になってもおじさんじゃなく童顔で驚いた!

そして初恋の人と、出てくる3人の男性と、ちょっとほろ苦い恋がありつつも、自分を見失わない。
決して「少女漫画のように都合のいい展開ではないけれど爽やかな男女関係」がいい……!
友情も愛情のうちよ。

チェスシーンは手に汗握る感じではなく、音楽に合わせて動くおしゃれな感じ。
8Kで撮影されているらしく、iPhoneで観ても映像がきれい。

50〜60年代のワンピースやインテリアがレトロで可愛くて、陰鬱とした感じがフィルム映画みたい。
久しくこういうレトロなお洋服を古着屋さんで見つけて、着ることがないので、早く春夏にならないかなぁ〜という気持ちになった。
毎回、目を凝らしながらベスのお洋服見ちゃった、特に終盤。

少年漫画の胸熱な要素と、少女が好きなガーリーな舞台と衣装。
言葉にしちゃうと野暮だけど、男女世代問わずおすすめしたい、いいドラマ。

P.S.
・義母役、トム・ハンクスの最新作の「幸せへのまわり道」の監督
・「ワンピースはチェス盤に見立てたもの」っていうのは知っていたんだけど、マリー・クワントの当時流行ったスタイルなのか!道理で好みだったわけだ
・最終試合「クイーン自らが死んで、もう一度生き返る」という意味らしい。ラストシーンの真っ白いファッションはクイーンのコスプレ
・ヒース・レジャー監督でエレン・ペイジ主演で映画化予定だったのも、見たかった気もする
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