平成2年の男

クイーンズ・ギャンビットの平成2年の男のレビュー・感想・評価

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
4.5
・最終話が本当に好き。本作の求心力は、どのエピソードを取っても視聴者のカタルシスを昇華させてくれる綿密にして強靭なシナリオ構成にある。だが最終話だけは、ロシアの首都を舞台にした淡白なシーケンスが構成の中心になっている。氷の宮殿のようなモスクワの街で、唯一温もりを感じさせるホテル。部屋の中でくつろぐベスの姿は、己の孤独にようやっと寄り添うことができ、安らいでいる風にも見えたのは私だけだろうか。最終話は、心の落ち着く瞬間を持たない、まさに鮫のような生き方をしてきたベスが、はじめて手にしたであろうひとときが描かれている、と解釈している。

・孤独で強い女性の描くのに派手なエピソードはいらない、ただ淡々とひとりで戦い抜こうとする姿を描けばよい、生き様を考える上で大きなヒントを本作は与えてくれた。

・なお、最終話のラスト10分は認めていない。最後の最後にベタなことをやらかさなければ文句なしの5.0だった。

・あれ?こいつ、ラブ・アクチュアリーに出てきたガキンチョじゃね?と思って調べたら案の定。変わってないというか、なんというか、斜め45度のエグみがある感じに育ってもうたな、坊やって感じ。