土の中からこんにちは太郎さん

クイーンズ・ギャンビットの土の中からこんにちは太郎さんのレビュー・感想・評価

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
5.0
描かれる全てに意味がある
それでいて単純に娯楽作品としても面白い
その両立さ加減ははっきり言って完璧
完成度にぞくぞくする
宗教画のようにその場面場面の絵面全て(色)で観る者に全て開示している
赤は恩恵と攻撃
緑は癒しと毒
黒は現実と閉塞
白は開放と事実
青は感情と嘘
結末や仕掛けが分かってもなお、面白さに一片の陰りも無い
非の打ち所の無い傑作(23.9月。2回目鑑賞)

アニャ・テイラー・ジョイ好きが高じてうっかり観たら予想を超えてびっくり。
アニャの女優としてのここまでの爆発力がある経歴は、この先無いかもしれん…("フュリオサ"ならもう一発狙える?)
碁がわからなくてもヒカルの碁が楽しめるように、この作品もチェスが分からなくても面白い。

全てを失った幼い主人公が何者かに導かれるようにチェスに触れ、その才能を開花させていく。
男社会に女性が単身、その頭脳ひとつで勝負に挑む。

こう言った設定だと往々にしてそこまで面白くなくなってきても惰性で「つい観てしまう」作りになっているのが常。
でもこの作品に関してはストーリーの巧妙さもさることながら、音楽やカメラワーク、ファッションなどの総てに製作者達のこだわりが細やかな所にまで及んでいて、惰性や中弛みなど一切感じることなく一気に観切った。
全7話という尺も良かったのだと思う。

色んなファッションのアニャが見られてとても良い。
陰キャのティーンから、ノリノリになったりがっくし落ち込んだりがファッションやメイクで表現されていて、バロメーターになっている。
時代の流行と主人公の気持ちがファッションに落とし込まれているので見た目にも楽しい。