Blue

クイーンズ・ギャンビットのBlueのレビュー・感想・評価

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
4.5
とてもキレのある作品で面白かったです。

王道と言えば王道ドラマですが、とにかく徹底的に構築された世界観のドラマで、そこが本当に好きになりました。
1960年代の空気感を出しながらいかにスタイリッシュに描いてファッションから美術、音楽、演出全てに統一された世界観がありました。


なによりも主人公を演じたアニャテイラーの頭から足のつま先まで、歩き方からチェスの駒を移動する仕草まで徹底した演技に惹きこまれたし、着てる服装においても服装がストーリーを補完してる部分もあるので、個性を消して服装や周りのデザインを強調させたりして凄い俳優だと思いました。

実際にチェスでも将棋でも女性のプロというのはほとんどいません。それは女性が向いてないわけではなく、男社会の中で単にチャンスがなかったし、入り込む余地がなかっただけだと思います。

クラブでDJとかやっていた時に、比較的に曲についての愛情を話したりするのは女性が多かったりして、DJやってみたら?というと拒否するのがほとんどでした。このドラマを見ながら、あの時も男社会でいきてるうえに趣味の世界でも差別/区別されるのが嫌だったのかなと思ったりして、もう少し配慮すべきだったかなと思いました。

印象的なシーンとして最終話で孤児院の地下に降りていく際に窓からこぼれてくる太陽の光です。
地下に降りていく、それは過去と向き合うという事で、そこに光が照らすあの演出は徹底的に構築された世界観の中で、ひときわ詩的で涙が出そうになりました。

チェスの駒に見立てて赤毛でファッションもクリーム色々のコートを着ていたり、孤児院で親友と抱き合うシーンの演出にはニヤッとさせられました。
人間味を取り戻し笑顔をみせてさらにラストの古い体質と戦う演出も良かったですね。

唯一の欠点は親友が唐突に出てきたところと、チェス仲間が結束するところをもっと描いてくれたらなと思いました。もう1話主人公がアル中で落ちていく様とそれを助けようとする周囲の人達を描いていれば文句なしでしたが、まぁ脚本、監督の責任ではなくNetflixが予算を充てなかったのが問題だと思いますw。

Netflixには様々なドラマがありますが、1番最初に見るべきドラマはこれかなと思います。脚本、演出、演技、音楽、美術、全てにおいて一定の水準を超えた作品だと思います。
Blue

Blue