このレビューはネタバレを含みます
全くキラキラしてないユーフォリア系統のダーク路線の学園ドラマ。
自分でユーフォリア系統と書いておきながらあれだがユーフォリアよりもこのドラマの方がリアルに感じたかな。
有名な役者は使わずオシャレな演出にも頼らずただただブルックリンの学生達が抱える様々な問題を描写してるのだがはっきり言ってかなり冗長なシーンが多い。
でもそれが逆に功を奏してると言うか普通のティーンドラマならこんな会話劇カットだろ?ってなシーンもたくさん使われてて好感が持てる。
これと言ってドラマチックな事も起こらないし学園ドラマ特有のキラキラした恋愛パートもあまりない。
じゃあ何が描かれてるのかと言うとアメリカで深刻な問題になってるレイプ文化や人種や性問題だ。
ここまで現代のアメリカのティーンが抱える社会問題を真っ向から描いてるドラマもそうないのではないかなと感じる。
ユーフォリアもダークとは言えやはりオシャレなドラマだ。
カッコよくてスタイリッシュな演出にたくさんの可愛い女優になにより知名度抜群のゼンデイヤが主役。
こちらは無名キャストだらけでそこまで可愛い女の子も出てこない。
でもそれが凄く現実的だし乾いた演出も味があって良かったと思う。
舞台になってるブルックリンは実際に凄く多様な街で白人36%、黒人33%、ヒスパニック系17%、アジア系12%と様々な人種が暮らしている(参照https://statisticalatlas.com/county-subdivision/New-York/Kings-County/Brooklyn/Race-and-Ethnicity)
一般的に多くのアメリカのティーンドラマは裕福な白人の街が舞台で美男美女だらけのキャストになる事が多い。
しかしこのドラマでは実際の人種統計もしっかりと考慮されていてメインキャストに黒人やアジア人が居てちゃんとそれぞれにストーリーが用意されている。
そういう所も好感が持ててこのドラマが好きだ。
内容は暗いし胸糞悪いシーンやくだらない下世話な会話劇も多くアメリカ文化に精通してないと意味不明なシーンも多い。
国歌斉唱の膝付きが何を意味するのかなんて多くの日本人は知らないだろうし(気になる人はコリン・キャパニックでググろう)
だけどこのグランド・アーミーはまさしく2020年の今を象徴するようなトピックを扱っていて最新アップデートされたアメリカティーンドラマの秀作だと俺は思う。
多分本国でもユーフォリアなんかに比べたら全く人気は出ないだろうけどIMDbやロッテンでも評価は高いし今後もこの路線でじっくり濃い内容を描いて欲しい。
キャストみんな良かったけど中でもジョーイを演じたオデッサ・アジオンはユーフォリアでエミー賞を獲ったゼンデイヤ並に良い演技をしてたと思う。
*追記
打ち切りらしく凄く残念。
まあ実は制作段階からこのドラマに携わってた人が差別主義者だかなんだかだって暴露されてて配信前からちょっと問題になってた曰く付きドラマではあったのだが。
うーんでもそれにしても勿体無い。
それとエミー賞でもこのドラマなんにも引っ掛からなかったなー。
絶賛されまくったユーフォリアよりもこっちの方が出来良いと個人的には思うんだけど。
いやもちろんユーフォリアも好きだけどさ。