ジェイコブ

猫のジェイコブのネタバレレビュー・内容・結末

(2020年製作のドラマ)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

大学を親に無断で中退し、定職にも付けず、その日暮しを余儀なくされていた天音光司。ある日、お礼金欲しさに迷い猫を探していたところ、金子みね子が抱いていた猫と勘違いした事がきっかけで出会う二人。みね子は光司が金に困っていることを知り、食事をご馳走することに。光司は、みね子が脳腫瘍により、いつ死んでもおかしくない状況にあると聞かされ、衝撃を受けるが、悲しむ素振りをみせず、前向きに自分の人生を生きるみね子に次第に惹かれていく。みね子もまた、光司の真っ直ぐな心を見抜き、自分の家に住まわせる事と引き換えに残り僅かな日々を一緒に生きてほしいとお願いする……。
テレビ東京の深夜ドラマにしてはむしろ珍しいくらいの、王道純愛ドラマ。DISHの「猫」という歌をベースに作られており、主題歌も担当している。
通常の恋愛ドラマであれば、7話くらいかけてやる出会い〜病の発覚までの過程を、第1話にまとめて見せる超高速展開(病に関して言えば、開始3分で明らかにしている)
最も印象的なのは、第一話で、光司から告白を受けた小西桜子ちゃんが、鼻水垂らしながら泣いていた事。大手事務所の若手女優とは気合の入れ方が違うと見せつけた上で、2話以降で泣くときはきちんと鼻を拭っていたのもまた微笑ましい(笑)
このドラマの特徴として、登場人物同士の会話で7割を占めていると予想されるほどの台詞量であり、恋愛ドラマとしては、ある意味かなり挑戦的な点だろう(海外ドラマでは最近、インスティンクトがこの形をとっている)これは人物のキャラクターや背景が色濃く表れやすいという利点もあるが、同時に演じる役者の力量に委ねる部分も多く、下手な俳優が演じると、ドラマそのものの世界観を崩してしまいかねない。しかし、主演の二人はその点において、見事に息のあった掛け合いと、熱量を魅せてくれていた。
残念だったのが、最終話で島を離れたみね子のその後の姿に触れていない事。例えば、みね子が新居に引っ越して荷解きをする中で、荷物の中にある光司との写真をワンシーン入れて終わるなど、光司との思い出を胸に新たな人生に向かって歩むみね子の姿を見せた方が、視聴者に情緒を感じさせる終わり方になったのではと惜しいと思う気持ち。