NHK土曜深夜枠。最も信頼しているドラマ枠のひとつ。今回も大変いいものをみせてもらった。面白かった。
高校に入って一番夢中になった授業は間違いなく「倫理」だった。プリクラにすらソクラテスとかアリストテレスとか書いていたのを思い出す。(進学校あるある)
思春期特有の、軟弱で役に立たなそうな思考、いわゆる厨二病とまとめて括られるような思考のその先に、はるか遠くにたたずむ、ように見える哲学者たちの思考が繋がったとき、わたしは人生というこの日常が普遍的で無限であり小宇宙のようであることに心底感動した。
明日の飯に困らず、何もかもを与えられ漫然と続く毎日に心ばかりが乾いていく高校生という年頃に、まさに「倫理」は必修科目であると思う。
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君は君で
私は私で
決して同じではない。
生きるってなんてひとりぼっちなんだ。
倫理を通じて自分の中の「主義」に気づいた女子生徒が清々しく宣言する。
それは決して悲しい呟きではない。
自分と、
自分とは異なる他者への祝福だ。
多様性を尊重することはもちろんなのだけれど、そこ(みんな好きにすればいいんじゃないの)で終わらずに、『より多くの人がより良く人生を生きられるように思考する』ところまで導いてくれる、稀有なドラマだった。
